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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十話 春の嵐
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事長のダイゴの時代になって漸く上記のような関係が結ばれそれ以来リーグと大学が提携してトレーナーにポケモンの捕獲に対して情報を与えたり、ジムリーダー以上に関してはより強いポケモンを育てるのに研究会の解明した情報が大きな役割を担っていた。
 その為、ワタルとしては極力その関係を壊したくなかったのだ。

「何を言うのですか! ポケモンに関する是非は我々リーグが正さずにどこが正すと言うのです。確かに研究会との関係は重要でありますが、本分に取って代わるほどの事ではないと思います」
「今や研究会の情報はトレーナー一人一人にまで影響しているんだ。もしも僕が調査してなにも出てこなかった場合はリーグへの信用や権威は地に堕ちるという事を分かっているんだろうね」
「その場合は正々堂々とこの意見書の内容を公開し、職務に則って行った事を世に示せばいい話です。これは現代の董狐の筆です。マツバさんだって余程の確信と覚悟が無ければわざわざ理事長に請願するとは思えません」
「な、何をとんでもないことを! 意見書の内容を世に晒せばそれこそ笑いものになる。確固たる証拠さえあればこそこれも意味するが、そうでなければオーキド博士を状況証拠だけで弾劾したものにすぎないんだ。オーキド博士の評判からして世間はこれで納得しないことは目に見えてる」
「我々は職務を実行するだけで何の非もないのですよ? 何をそんなに恐れる必要があるのですか? 先人が勝ち取ったこの権利を使うべき時に使わないで如何すると言うのですか!」

 シロナのその発言を受け、ワタルは大きく頷き

「そうか……。そうだな……。よし、じゃあ……」

 監視権行使に向けて議論がまとまりかけたその時、リーグ委員が泡を吹きながら血相を変えて理事長室に入ってきた。

「り、理事長! 一大事でございます!」
「こら! ちゃんとノックしてから」

 シロナは振り返って委員を見咎めた。

「あぁこれはこれは副理事長失礼を……。いえ、あのとんでもないことが起こりまして……」
「落ち着いてゆっくり話すんだ。一体何が起こったんだい」

 ワタルは委員に優しい口調でそう尋ねた。
 そしてリーグ委員はおもむろに口を開いた――

―――――――

―4月23日 午後1時 44番道路―
 
 時は少しだけ戻って4月23日。
 レッドとエリカはヤナギを破り最後のバッジを手にする為に出くわすトレーナーと戦いながらフスベシティへと向かっていた。

「はぁ。いい天気だな」
「ええ、お昼寝したくなるほどの陽気ですわね」

 昨日と同じく季節は春真っ盛り。葉がやや混ざりながらも桜が咲き誇り、心地よい春風が吹いていた。

「本当だな……。はーぁそれにしてもヤナギさんに勝ってからどうもヤマを越えたというか身が入らな
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