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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第七話 大姦の蠢動
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脳裏にでも来たら死にたくても死に切れない。それはそうと、しっかりと頼んだぞ」

 その後、マツバとミナキは最後の晩餐と言わんばかりに、食事も交えて夜通し談笑し続けた。

―3月21日 午後3時 エンジュ大学 構内―

 この日、エンジュ大学では二回目のオリエンテーションが行われていた。
 そしてその日、昨日出席出来なかったアカネが出ている。
 アカネはトイレを我慢していた為、映像が始まると同時にこっそりと抜け出して用を済ませ、その帰途にあった。
 しかし、その最中アカネは見覚えのある人物を見かける。
 自らの同業者にして、親友であるマツバだ。
 アカネは不思議に思ったのか、声をあげずに静かに尾行した。
 そしてマツバはオーキド博士の研究室に入っていく。怪訝に思ったのかアカネはドアの真横に立ち、そっと聞き耳を立てた。

―研究室―

「ほほう、やはりきおったか。」

 オーキドはそういうと椅子から立ち上がり、マツバの方向に振り返る。

「マツバ君」

 マツバは、レッドとエリカに会った後、その足で大学へと向かっていたのだ。

「名をお忘れでなかったようで光栄です」

 マツバは胸に手を当てて、(うやうや)しく一礼する。

「ジョウトの秀才の名を忘れるものか。それに、君はワシの授業を取っていたしのう」

 オーキドは憎たらしげにそう言った。

「フ……そうですか。それはそうとオーキド博士! 貴方の持っているその機械、手渡してもらいましょうか」

 マツバはオーキドの卓上にある、四角い機体を指差して言った。

「これはタダのプロジェクターじゃ、何も怪しくないがのぅ……」

 オーキドはあくまでも知らぬ顔を続ける様子である。全く白々しい。

「私の名を存じておられるのならば、もうひとつのあだ名もお耳に入っていることと思います」
「もちろん存じておる、千里眼のマツバ……じゃの」
「そうです。私には森羅万象すべてを見通す千里眼を持っているのです。ですのであなた……いやあなたがたの企んでいることなど全てお見通しと言う事です」
「じゃからどうしたというのだ」

 オーキドは少しずつ不快感を露わにする。声こそ平常どおりだが、苛立ちの雰囲気は十二分に出ている。

「ここまで言わないと分からないとは……天下の博士も堕ちたものですね! 気を最初に感じてから数ヶ月間、貴方の行動をずっと伺ってました。博士。もう十分でしょう。罪を認めてください。自首なら今のうちです」

 ここまで聞くと、オーキドは態度を一変させた。先ほどまでの好々爺(こうこうや)な爺さんではなく、老獪(ろうかい)梟雄(きょうゆう)にへと変貌を遂げたのだ。

「ホッホ。やはり君の前では隠し事は出来ぬの。じゃが
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