暁 〜小説投稿サイト〜
伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第七話 大姦の蠢動
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を気に掛ける。

「例えそうだとしても責務を放り出す訳にはいかないよ。エンジュの中で起こったことはリーダーたる僕が対処しないと」

 マツバは眉を引き締めて真剣な様子で言う。
 ミナキは親友の言葉というのもそうだが、その様子を見て決意を疑うような真似をするだけ無駄である事を悟ったようである。

「ハハ! 全く君らしいね……」

 ミナキは笑い飛ばした。マツバは怒るどころか、親友の変わらぬ姿を見て安心しているようだ。

「何か僕の身に起こったら、この手紙を二人に渡してくれ」

マツバは一枚の手紙と、一つの分厚い封筒を手渡した。

「ああ、飛んで戻ってくるよ。バッジを集めてるなら数回はここに立ち寄るはずだからな。で、お前肝心の写真は?」
「おっと。エリカさんの写真が無くては見つけられないね」

 という訳でマツバはポケギアの中に入っている一枚の写真をミナキに転送する。
 ミナキは自身のポケギアを開き、写真を見る。

「ほほう……。これがエリカさんか」
「うっ……何でニヤついてるんだ」

 マツバはうつむきながら尋ねる。

「いやいやぁ。これがエンジュの貴公子様を一目惚れさせた女かって思っただけさ。というかこれ証明写真じゃなさそうだな。どうやって撮ったの?」

 写真の背景がある事に気づいたのか、ミナキは尋ねる。
 
「その写真は4年くらい前にやけた塔行っていたときに、鉢合わせしたから撮った物だ。お忍びで来たらしくてね……」
「え、それ絶好のチャンスじゃないか。どうしてそこでいかなかったんだ」
「彼女、あの時お祖母さん亡くしたばかりで、気を紛らわしに観光に来たらしくてね。僕があんまり話しても迷惑かと思って、5分くらい話して別れたんだ。写真は僕自身まだ青かったからねえ、せめて彼女と会った証拠でもと内心舞い上がってて少々強引に撮っちゃったんだ」

 エリカに対しては申し訳ないことをしたという気持ちの篭った口調でマツバは話す。

「お前まだ24だろうが……。にしても、時間掛けて傷心の彼女を慰めていればもっと違う展開になったろうに」

 ミナキは残念そうに言う。

「無理に写真撮って、それに加えてつけこむような真似はしたくなかったんだよ」
「全く、だからマツバは……まあいいか。写真はこれだけか? 4年だと顔つきも変わってるんじゃ」
「いや大丈夫だ。最後に年末の合同定例会で見かけた時も、それから少々垢抜けているくらいでそこまで変わってない。それに写真はこれ一枚だけ。それもお前に送った後消したから僕の手元には一枚も残ってないよ」

 あれだけ恋焦がれているエリカの写真を消したというマツバの言葉にミナキは仰天する。

「お前……。そうか。それだけ覚悟決めてるのか」
「最後に彼女の顔が
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