暁 〜小説投稿サイト〜
伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第七話 大姦の蠢動
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西に渡りタンバでシジマと戦え。そこまで集めた暁には二度の挑戦を許そう」
「分かりました」

 しかし、その二人に勝った所でヤナギに勝てるかどうかはまた別の問題である。
 レッドは猶予が与えられたとはいえ、非常に沈痛な心情である。
 
「決して挫けるでないぞ……さあ、行って来なさい」

 ヤナギは2人を送り出した。
 レッドとエリカはポケモンセンターで回復した後、修行の為敢えてスリバチ山を経由することにした。


 話は少し前に遡る。

―3月20日 午後9時 エンジュシティ マツバ邸―

 集団催眠事件がエンジュ大学で起こったことを千里眼で悟ったマツバは、オーキドの悪行を確信し、自らの命を(なげう)ってでもポケモンたちを取り戻す覚悟を固めた。
 そしてその夜、生まれてからの知音(ちいん)であるミナキを呼び出して一部始終を話した後、マツバはジムに張り出す紙を書いている。

「さてと、これでいいかな。筆に迷い無く、なかなかの出来だ」

 マツバはジム前に張り出す紙を書き終えた。墨書の効果か、どこかしら威厳が醸し出ている。
 そしてその傍らには何十枚もの書き損じがあった。

「おい、いいのかそんな君に恋焦がれる婦女子たちを心配させるような事を書いて」

 マツバの親友であるミナキは冗談半分でそう言った。

「目を覚まさせる特効薬だよ。あんな身も心もさもしい連中なんか相手にしていない」

 マツバはそう切り捨てた。歯牙(しが)にも気にかけていない様である。

「相手にするのはタマムシ大首席のお嬢様だけか」

 ミナキに調子のいい声で突っ込まれると、マツバはたじろぎながら

「さ……才女には、秀才が釣り合う相手になる」

 そう言うとマツバは赤面をミナキに向ける。

「随分な自信だけど、なんだかんだでまともに一回も話したことないんだろう?」
「うるさいな。待てば海路の日和ありと言うだろ」

 マツバは毅然と反論するが、ミナキはおちょくった調子で

「お前、エンジュの貴公子だなんだともてるくせに本当に惚れた女には晩生なんだな。その挙句にレッドとかいうのに横取りされて……」
「スイクンに魂を抜かれた君に、僕の気持ちは分かるまいよ。それに、あの二人はどう見ても合わない。遅かれ早かれ破談になるよ」

 マツバは即座にそう返した。

「マツバの千里眼でか?」
「まさか。付き合ったと聞いて以来会ってもいないのに……。ただ単に僕の直感だよ。願望とも言うかもしれないけどね」

 マツバはどこか暗い表情をしながら言う。

「そうか。まあ、両人共に私は会った事もないし判断のしようが無いがな。それはそうと本当に行くのか? 死にかねないぞ」

 ミナキは声調を変えてマツバ
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