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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第七話 大姦の蠢動
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事は自明である。
「……」
レッドはただ黙るだけである。
「この程度で伝説のトレーナーを名乗るなど笑止千万だの。バッジなど全て外し、マサラタウンからやり直せい」
「ヤナギさん! いくらなんでも言いすぎですわ!」
エリカは夫への痛罵に堪えきれなくなったのか、ヤナギに反発している。
「ワシは主観を述べただけじゃ。それがレッドのトレーナーとしての贔屓目抜きの評価じゃよ」
ヤナギはそう総括する。
「しかし!」
余程我慢ならなかったのかエリカはなおも食い下がる。が、ヤナギは袖についた埃でも取り払うかのように、冷淡に返した。
「エリカ女史。聞き分けが悪うなったのう。前の貴女ならここで食い下がらず素直に引き下がるぐらいの聡明さはあったはずじゃ。もしかして、レッドと出会って少し愚鈍になったのかの?」
ここにきて、エリカにも言及される時がきた。どんな相手にも容赦はしないようである。
これ以上の反論はいたずらに傷を広げるだけだと判断したのかエリカは観念して引き下がる。
「とにもかくにも、まだお主等はわたしに挑戦するには早すぎるのだ。また出直すのだな」
二人は落胆しながらジムの入り口まで戻る。
ジムにいる例のおっさんが慰める為か近づいてきた。
「まあ元気だしてくださいよ。ヤナギさんはああ言ってますけどあなた方も十分凄いですって!」
「……」
しかし、2人はその程度の励ましでは癒え切れなかったようである。
「んな安いお世辞は聞き飽きた」
レッドは重い口を開くと、そうはき捨てた。
「お世辞じゃないですって。ヤナギさんは認めた相手に対しては厳しく接するところがあるんです」
レッドはおっさんの言うことに傾聴しはじめる。
「その上、認めた相手には必ず呼び捨てにします。あと、ヤナギさんマンムー出してましたよね」
「まさか」
レッドは感づく。
「はい。あのマンムーはウリムーの頃よりヤナギさんが長い間寝食を共にしてきた特に大事な相棒だそうで。それを出すということはヤナギさんに本気を出させた何よりの証なんですよ」
おっさんのその発言で、レッドの体内には戦慄が走り、自らの身を引き締めさせる。
「全く余計な事をベラベラ喋りおって……」
「あ! いつの間に」
おっさんは素っ頓狂な声を出し、何事かと2人は声の方向へ体を向けた。
いつの間に、ヤナギが姿を現している。完全に気配を消していたようだ。
「ヤナギさん」
「レッド!今この男の言った事は全て誠じゃ。わたしは、お主の力を認めてはいる」
「……」
「だがの、わたしに勝つにはやはりバッジが必要だ。ここから西に行けばアサギに着く。そこでミカンと戦い、その後で南
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