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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第六話 二つの巨壁
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。学長は何かを恐れてるかのをかき消すかのような大きな声で

「もちろんでございます!」

 と答える。サカキは硬い表情を崩さずに

「良くやった。お前たちにしては良い働きだ」

 と返す。

「ハッ!お褒めに預かり光栄至極に存じます」

 学長の声は褒められたことに対する喜びではなく、怯えているような感情が強い様子だ。

「天下のエンジュ大学も我々の前にこの様か」
「何、結局は我が身可愛さよ……。ここに呼んだのは他でもない、今日の計画の仔細じゃ」

 オーキドに続いてサカキが言う。

「ここの学生を洗脳し、ポケモンを回収する。中には現役でジムリーダーをやっている者も来る予定と聞く」
「それに使うのがこの機械、集団催眠機じゃ」

 オーキドはカバンより数台のプロジェクターを机の上に置いた。

「集団催眠機と申しますと? 一見、何の変哲も無い再生機に見受けられますが……」

 学長が恐れ入ったような声で尋ねる。

「うむ、この機械で今日オリエンテーションに来る生徒達に恒例どおりの紹介映像を見せる。じゃが1000分の一秒だけポケモンを回収するとの文言を表示するのだ。それを30分の映像の中で二十回ほどやるのだ。不定期にの」

 学長たち一同はこの言葉で感づいた模様である。俗に言うサブリミナル効果を悪用しているものだ。

「そして、映像が終わった後全員の生徒にポケモンを回収せよと同じことを言う。これが催眠の初号と解号になり、モンスターボールをおかせる。それで三時間後に催眠を解く。無論生徒達は気づかないまま帰り、それから二日後に完全に催眠を解かせるのじゃ」
「つまり、気付いた頃にはもう後の祭り。時間も経っているからよもや我々を疑うこともあるまいよ。ククククク……」

 サカキは悪意をこめた笑いを発した。
 その後、サカキは身を前に乗り出して眉を引き締めた顔の前に手を組む。

「これが全容だ。いいな?」

 そして、ドスの効いた声に戻し確認を促す。

「はっ!」

 学長、広報課長はやはり怯えているような声でほぼ同時に答えた。

「期待しておるぞ」

 そんなオーキドの励ましも二人の耳には決して快くは聞こえないだろう。表情の裏にはどこか憎悪めいたものが窺える。

「回収に成功したら俺はそのポケモンをつかい、下地作りを……」

 サカキが言い終わろうとすると、オーキドが遮り

「サカキ殿。すぐに手を出してはならぬ。ロケット団が従前よりやってきた方法では時間がかかりすぎるわい。我らの計画はタイトなのじゃ」
「われわれのやる事には口出しをしないという契約のはずだ。口を挟むことは……」

 サカキがそう言って一蹴しようとすると

「口出しをしておるのではない。提言
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