第一部
第六章 〜交州牧篇〜
七十三 〜碧眼児〜
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だ」
彩だけではなく、愛紗も憤慨している。
いや、程度の差はあれど、皆が怒りを覚えているのは確かであろう。
「やはり、一刻も早く交州入りする必要がありそうですね。今の朝廷では、地方まで目が届きませんから」
「私も朱里ちゃんに同感です。……ただ、問題は事実上の州都、交趾までの道のりがあまりにも遠い事です」
広げた地図を前に、皆が溜息をついた。
広大な漢王朝の版図。
実際に移動する事で、それを痛感する日々だが、それにしても遠い。
「しかし、その調子では荊州を通過するのは危険ですな、主」
「うむ。劉表に野心があるとなれば、何らかの妨害が予想される。そう考える方が自然であろうな」
「…………」
ふと、地図を食い入るように見つめる山吹に気がついた。
「如何致した、山吹?」
「あ、はい。名目とは言え、庶人の保護の為に出兵させるのは止められませんが、それを何とか利用出来ないものでしょうか?」
「利用?」
「そうです。劉表様にしろ劉焉様にしろ、救援名目でご自身が出馬する事はないでしょう。お二方とも、武官の出ではありませんから」
山吹の言葉に、三人の軍師が顔を見合わせた。
「あ、なるほど。その手がありましたか」
「ですねー。思いつかなかったのですよ」
「はい。ご主人様、何とかなるかも知れません」
「ちっともわからないのだ。愛紗、一体どういう事なのだ?」
「わ、私に聞くな、鈴々。……私にも、さっぱりだ」
同様に、彩らも首を傾げている。
……だが、この三人がいれば、誤った策を立てる事はまずあるまい。
「よし。稟、風、朱里。お前達に任せる、見事この状況を乗り切る策を立ててみせよ」
「はっ!」
「御意ですー」
「御意です!」
うむ、良い返事だ。
稀代の軍師らが立てる策、見せて貰うぞ。
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