第一部
第二章 〜幽州戦記〜
参 〜初陣〜
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をそう呼ぶ。
兄というには、少々年を取ってしまっているのだがな。
ただ、呼び方は皆、それぞれだ。
「やはり、黄巾党とやらの討伐からだな。どうせなら、効率よく名を上げたいものだが」
「となると、それなりの有力な集団を相手にせねばなりますまい」
「稟、風。どうだ?」
こういう時は、軍師を望む二人に聞くのが最上だろう。
稟は戦略を練る事も出来るし、戦術にも通じている。
一方の風は、謀略や外交に長けている。
もっとも、軍師として必要な素質を備えた上で、さらに長所を持つ、という具合だ。
……やはり、郭嘉と程立だけの事はある。
「この近辺で、という事であれば……大興山に拠る程遠志でしょう」
「もしくは、黄巾党の中で武名を馳せている波才でしょうかー」
「なるほど。どちらがより与しやすいか?」
稟と風は、一瞬顔を見合わせてから、
「程遠志でしょう。兵の数も波才の方が多い上、波才自身がなかなか兵の扱いに長けているようですから。程遠志も黄巾党の中では有力ですが、波才ほど統率が取れていないようですし」
「どちらにしても、今のお兄さんでは兵の数が足りませんけどねー」
「兵さえ互角なら、鈴々も思い切り暴れられるのだ」
「多少の差であれば、我らが頑張りで如何様にも覆せるのですが……」
いかに豪傑揃いとは言え、やはり今のままでは手の打ちようがない、か。
「主。前方で、砂塵が上がっているようですぞ」
そこに、星からの報告。
「どれ。確かめるとしよう」
私は、懐から双眼鏡を取り出した。
「ご主人様。それは?」
「これか? 双眼鏡と言って、舶来の品だ」
「双眼鏡、ですか」
一同は、物珍しそうに見ている。
実際、元の世界でもまだ珍しい物ではあったがな。
「それでお兄ちゃん。何をする物なのだ?」
「これを通して見ると、遠くの物でもはっきりと見えるのだ」
答えながら、双眼鏡を覗き込む。
「『朱』の旗が動いているな。それに、黄巾党が襲いかかっているようだ」
「朱……朱儁将軍でしょう」
稟がすかさず答える。
「朱儁か。確か、朝廷の高官だな?」
「お兄さん、よくご存じですねー。右中郎将を務める方ですよ」
さて、どうするか。
官軍を手助けし、恩を売って助力を乞うのも一つの手だ。
……だが、私の知る朱儁は、まさに愛紗の言う『官匪』の筈。
劉備が義で助力をするも、義勇軍と侮られてまともな扱いを受けなかった……と記憶している。
この世界の朱儁がどういう人物なのかはわからぬが、ただ助太刀するだけでは意味がない。
「どうせならば、官軍に我らの存在を強く印象づけたいものだな」
「いえ、官軍だけではありません。賊軍にも、歳
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