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至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
参 〜初陣〜
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 酒を酌み交わし、一頻り(ひとしきり)語らう我ら。
 その内容は、どうしても今後の話が主になるのはやむを得まい。

「さてさて、これからどうしましょうかー」

 図らずも桃園の誓いをする事になってしまったが、いつまでも現実から目を背けてもいられない。
 ……どのみち、私はあの戦いで一度死んだ身。
 恐らく、元の世に戻る事は適うまい。
 私自身人の上に立つに相応しいかどうか、それは定かではない。
 仮に劉備がいるのであれば、それを支える方が似つかわしいのかも知れぬ。
 ……だが、劉備がおらぬ以上それは天命に非ず。
 そうなれば、ただ座している訳にはいかぬ。
 少なくとも今の私には、こうして従う者がいる。
 彼ら……いや彼女達の為にも、私も動かねば。

「我らは、ご主人様に従うまでです」
「でもお兄ちゃん、何か当てはあるのか?」

 そう言われると、難しい。
 今がどの時代で、どのような状況かは皆の話である程度把握出来はした。
 もし私が劉備の役割を与えられたのであれば、取る道はただ一つ。
 ……だが、義勇軍か。
 名前は勇ましいが、そのままでは雑軍に過ぎぬ。
 まともな武器もなく、練度も期待するだけ無駄な軍など鎧袖一触であろう。

「まずは金、か」
「そうですね、歳三様。どう動くにしろ、資金の工面は必須かと」

 稟の言葉に、皆が考え込む。

「だが、今の我らは徒手。一騎打ちであれば成果を出してご覧に入れますが……それではせいぜいが、小規模な賊退治が関の山でしょうな」
「星ちゃんの言う通りですねー。でも、それでは資金も兵も集める事は難しいかと」

 それに、何らかの成果が必要だろう。
 声望がなければ、人を集める事も適わん。

「やはり、誰か地位のある者と組む。……それしかないな」
「はい。ですが、相手にもよります。それに、実績もなしに打診しても、門前払いか雑兵の役目が精々でしょう」
「うー、それではつまらないのだ」

 ふむ、これだけの面々が揃ったのだ。
 ただ何れかに従うだけでは、鈴々ではないが面白味に欠ける。
 これが劉備であれば友人の公孫賛や血縁の荊州の劉表を頼る、という手もありそうだが。
 素性の知れぬ私が、そもそも誰かを頼ろうとするだけ無駄であろう。

「あの、もし」

 と、村の若者らしき男が、声をかけてきた。

「何用かな?」
「は、はい……。大変失礼とは思いましたが、お話を聞かせていただきまして」

 別に聞かれて困る話ではない。
 官吏に聞かれたところで、たった六名で何が出来るかと一笑に付されるのが関の山。

「そう恐縮せずともよい。それで?」
「これから、民のために立ち上がる。その結盟をなさっておられるのですか?」
「ああ。
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