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SAO−銀ノ月−
第八十八話
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て解き明かされた今、それは俺にとって何の変哲もない拳銃でしかない――が、リーベは『この拳銃に当たったら《彼女》を殺す』とうそぶいている。それがハッタリであろうが本当であろうが、何にせよ当たるわけにはいかない。

「どっちもごめんだ」

 そう言い残すと、俺はリーベから距離を取るべく後退する――有り体に言って逃げるのだ。吹き飛ばされた左手であろうと、時間はかかるがアイテムを使えば回復する。もちろん敵を前にしてはそれも望めないが、仕切り直しとばかりに一度離れれば。

「そんなこと言わないでさぁぁっ!」

 しかしリーベがそれを許すわけもなく。《黒星》ではなく先のナイフを取り出すと、後退しようとする俺に脅威的な速度で襲いかかる。少しばかり後退したものの、やはり逃げられないと悟った俺は、こちらに来るタイミングに合わせてAA−12を発砲する……が、当然のようにリーベには通じず、俺は大きな隙を晒す。

 迫る白刃。寸分の狂いなく俺の心臓に向かっていったが、それ故にその軌道は読みやすく、肘から先のなくなった左手で側面から殴りかかると、その刃はあっけなく外れる。彼女の言うところである吐息を感じる距離で作動された爆弾が仕込まれた刀身は、俺とリーベ双方を巻き込んだ自爆――などということに付き合う義理はなく。

「……じゃあな」

 俺は足で直下にあったドアノブを引くと、落とし穴にでもかかったようにビルの一室へ落ちていく。先程、無理な後退を見せたのは本気で逃げるためではなく、このドアが床になっている地点まで行くため。

「あっ――」

 リーベの初めて聞く驚愕の声が遠ざかっていき、俺は重力に従って床となった部屋の窓に着地する。そして廊下では刃の爆弾が作動し、リーベの直近で爆発する。逃れられないその衝撃に身を震わせながら、残った右手でAA−12を廊下に構えると、リーベがいた場所へと構わず乱射していく。

「……倒れろ!」

 ――弾倉に入った全ての薬莢がなくなった時には、刃の爆弾による爆発も収まり、AA−12によって破壊し尽くされた廊下だけが残った。
大小様々な破片を注意深く確認するものの、その廊下にリーベの姿はどこにもなく。

 弾が切れた弾倉を排出し、右手だけで何とか弾倉を入れ替える――通常弾頭は今ので弾切れで、もう特殊弾頭《FRAG-12》だけしか残っていないが――回復アイテムの注射を使うと、ゆっくりとHPが回復していく。……かといって、ここでゆっくりしている訳にもいかず。

 恐らく今の攻撃では、あの踊り子にトドメをさせてはいない。ならば同じように彼女も態勢を整える時間になっている筈で、罠を仕掛けられる以上は時間がかかればかかる程、彼女の方が有利になっていくだろう。

「ふぅ……」

 一息ついてAA−12を服に引っかけると、階段
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