九十四 瀬戸際にて
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薄暗い廊下。四方の壁を始め、通路全てに鱗石を敷き詰めているのか、全体的に蛇を思わせる路。
其処では、呻き声が絶えずに轟いていた。
廊下を伝い、響く絶叫。蛇の道を突き抜けるソレは幾度も反響し、やがて消えてゆく。
だが、間髪容れずの唸り声はやはり途絶える事は無い。
今一度、上がる苦悶の叫び。激痛に耐え兼ねた呻き声を遮るように、カブトは鋭く進言した。
「緊急を要します!今すぐに転生しなければ、全てを失う事になりますよ。それでもよろしいのですか!?」
予想以上に三代目火影の術【屍鬼封印】の呪いが強かったのだ、と力説する彼の言い分はもっともで、大蛇丸は呻くのを止めた。視線で促す。
今まで自分が手にしてきた術や技術全て。それらと引き換えにするくらいなら、と。
大蛇丸から了承を得るや否や、新しい転生先の肉体を用意する為、カブトは踵を返した。
大蛇丸の研究材料として集めてきた選りすぐりの忍びや大罪人達の牢獄。その封を解くと、解放された者達が困惑気味にカブトを見上げる。
幾多の怪訝な視線に、彼はにっこりと笑顔を返した。
「君達をこの牢獄から出してあげよう…―――ただし、一人だけだ」
己の甘言に踊らされ、殺し合う愚かな人間達を背後に、カブトは扉を閉ざした。長い長い廊下を再び引き返してゆく。
虫を共食いさせ一匹だけ生き残らせる――正に蠱毒そのものの実現を尻目に。
「サスケの命は保証しよう。その代わり、この任務にて不審に思った件全てに目を瞑ってくれ」
「……断ったら?」
とてもそんな事出来もしないくせに、シカマルは尋ねざるを得なかった。
「大蛇丸の部下でも無いのに、どうしてサスケの安全を保証出来るのか…その疑問はもっともだと思うよ」
思った通り、ふ、とナルトが微笑む。シカマルの考えなどお見通しのようだった。
「では逆に問う。何故大蛇丸はサスケを欲しているのか?」
「……そりゃ、うちは一族の生き残りだからだろ」
【写輪眼】という特殊な瞳術を持つ人間ならば、誰だって部下にしたいだろう。それも最後の一人ならば特にだ。
音の五人衆に手引きさせてまで大蛇丸が手に入れたいという事は、やはりサスケはそれほどの才能を秘めているのだろう。
「サスケはアカデミーの頃から何かにつけてスゲェ奴だった。しかもあの【写輪眼】を持っているとなれば、な」
「それもある。だが大蛇丸の本来の目的はサスケの眼でも才能でも無い」
「……どういうこった?」
言葉の意味を判じ兼ねて、シカマルは怪訝な顔で眉を顰めた。だが逆に訝しげな視線でナルトに問われる。
「…サスケから聞いてないか?」
『木ノ葉崩し』の真っ只中、我愛羅との対戦で不利に陥ったサスケは【呪印】でチャク
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