九十四 瀬戸際にて
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ラを無理に引き出そうとした。その【呪印】使用を止めたのが、君麻呂。
ナルトから『波風ナルが来るまでの、うちはサスケの生存及び呪印の抑制。そして大蛇丸に対し、危機感を抱かせる事』を頼まれた君麻呂はその通りに実行し、サスケに警告した。
【不屍転生】の術としての新たな器。それが自分の身体だと、そこでようやくサスケは知ったはずだった。
「【不屍転生】…――自身の精神を他者の肉体に入れ替える術。それが大蛇丸の狙いだ」
「…ッ。つまりそれは、」
ナルトから改めて大蛇丸の意図を耳にし、シカマルの優秀な頭脳は即座に悟った。
大蛇丸が次に転生しようとしているのが、サスケ自身だと。
「あの野郎…っ、そんなこと一言も…」
木ノ葉忍びは全員、『木ノ葉崩し』で起きた出来事は全て供述し、各々報告する義務がある。故にサスケもまた、君麻呂から聞いた事柄を報告しなければならない。
だがサスケは己が狙われる理由を知っていながら、報告を怠ったのだ。
それはひとえに、大蛇丸への潜入スパイを却下される恐れがあったからかもしれない。
それはそうだろう。音の里に着いた途端、大蛇丸に乗っ取られる可能性もあるのだ。
火影である綱手でさえ、そんな危険があると知っていたらサスケの隠密活動を一蹴していたはずだ。
「…要するに、アンタなら大蛇丸がサスケの身体を乗っ取るのを防げるってわけか?」
「完全に、とまではいかないけれど、時間稼ぎくらいなら出来ると思うよ」
現にまだ大蛇丸は転生していないので、サスケへの転生も十分考えられるが時間の問題だ。
現在の身体ではサスケが来るまでに持ち堪えられないし、三代目火影による【屍鬼封印】の傷も癒えてない。尚且つ、その点に関してナルトは既に手を打ってある。
【不屍転生】の術を一度使用すると、三年以上は次の身体への転生が不可能になるという事実をあえて伏せながら、ナルトは悪びれもせず微笑んでみせた。
相手を騙すには嘘と真実を入雑じったほうがバレにくいものだ。
「――それで、どうなんだ?条件を呑むのか、呑まねぇのか」
痺れを切らした多由也の尖った声に、シカマルは眼を瞬かせた。そうして、多由也には目もくれず、ナルトだけを真っ直ぐに見つめる。
その口許には皮肉のこもった笑みが浮かんでいた。
「……―――」
文字通り、眼を瞑ってみせる。シカマルの了承の意を酌んで、ナルトもまた静かに微笑んだ。
相変わらずその蒼い瞳からは、聊かの感情も読み取れず、シカマルは顔を伏せた。
最初からこちらが拒否出来るはずも無かった。ナルトが提示した案を呑むしか、シカマルには選択肢が無い。
ましてや、大蛇丸の狙いを知った今では。
「…聞き入れてくれたお礼と言ってはなんだけど、」
ハッと顔を
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