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東方乖離譚 ─『The infinity Eden』─
episode2:その異変は唐突に
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凶暴化してる──?」

「成る程。──なにやら気味の悪い魔力が漂っていると思ったら、その日食とやらは妖怪を凶暴化させるようですね。あまり強い妖怪には効果は無いようですが……いや、それなら何故幽香さんが……?いえ、それは後で考えましょう。恐らく、先程の仮定で問題無いと思います」

「それが目的……?何の為に……」

「今は兎に角、人里に群がってる妖怪達を撃退するのが先です!下手をすれば、人間の人口が大幅に減りかねない!」

 その言葉に応えようとした瞬間に、衝撃が全身を襲う。大地に跡を残して着地した文は、ヒメノを地面に下ろすとすぐさま飛び立った。そう認識した瞬間、既にその姿は影も形も無く消え去っている。

「ヒメノ!」

「慧音先生!その腕……!」

 自らの名を呼ぶ声に振り返ってみれば、そこに居たのはやはり慧音であった。──そして左腕からは、赤い血が滲んでいる。
 ぶらりと投げ出されたその腕は力なく揺れ、それは左腕が機能していない事を容易にヒメノに伝えた。

「私は問題ない。が、不味いな……あの奇妙な太陽が現れてから、妖怪達が凶暴化し始めた。今は退魔の道具で抑えているが、その内保たなくなる──!」

「他に怪我人は??」

「幸い、傷を負ったのは私だけだ。自警団の皆が妖怪を監視しているが、何時また突破しようとするか分からん」

「霊夢か魔理沙は??」

「先程、霊夢には使いを送った。魔理沙については向こうが気付かない限りは──いや、どうやら既に来ていたらしい」

 少しだけ浮かぶ安堵の顔が見つめる先には、宙を舞う人影が数多の流星を描いていた。
 箒に跨り、手先に浮かぶ魔法陣から星の魔法を放つその人影は、紛れも無く魔理沙の物だ。

 良かった。妖怪を相手取るのに慣れている彼女が居れば、妖怪が相当な軍勢でも大丈夫だろう。よっぽどの大妖怪でも居ない限りは心配ない。今の内に私がすべきなのは──

「兎に角、人を避難させましょう。先導します」

「すまない、頼んだ」

 流石に、力も持ってない半端な奴が助太刀に行ってもかえって足手纏いになるだけだ。退魔の札を幾らか受け取り、慧音から伝えられた住人達が集まる広場へと向かう。

 走りに走って人里の中央に存在するその広場へと近付いて行き、広場の光景が視界に入った所で、その中心で固まっている住人達を確認する。妖怪が来ている様子は無い、今の内に裏側から逃げるのが最善だ。

 と、不意に一人の男が安心した様にヒメノに声を掛けた。よく見知った顔──というか、ヒメノが何時も世話になっている団子屋の店主だったのだ。

「ひ、ヒメノちゃんじゃねぇか!無事だったのか!人里の外に行ったって聞いたから、てっきり俺ぁ……」

「おじちゃん!怪我してない??奥
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