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東方乖離譚 ─『The infinity Eden』─
episode2:その異変は唐突に
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念すら存在しなかったモノだった。
 即ち、漆黒に染まった太陽──日食である。

「あ、日食だ。最近見てないと思ったら、今日だったんだ」

「──にっしょく?アレは日食というの?」

「うん。見た事ない?」

「見た事ないわ。多分、あんな現象は幻想郷が作られて一度も起きてない」

 ……あっれれー?おっかしーぞー?ってか何気にあややの口調が素になってら。俺得。女だけど。
 確か、幻想郷が出来たのは数百年前だった筈だ。仮に幻想郷に日食が無かったとして、『この幻想郷』に於ける外の世界は現代だった筈。現代ならば当然日食も存在し、幻想郷が設立される以前もその現象は起こっている筈なのだ。加えて文はかなりの古参妖怪。幻想郷が設立される遥か前から生まれているし、日食は確実に知っている筈──

 ああ、そうか。簡単な事だ。

「『私の居た世界』と『外の世界』は、別物なんだね」

「……貴女、ただ外の世界から来たって訳じゃ無いのね」

 どうやらその様だ。世界が違うなら起きる現象が違ってもおかしくは無い。原作にて明言されていないのだから、外の世界では太陽と月が重ならない可能性だってある。つまり『この時間軸』に於いて、日食とは本来起こりえない完全な異常なのだ。
『ソレ』が起こっている。つまりそれは、この世界に於ける『異変』に分類されるのだ。

 ──異変起きるの、早過ぎませんかーーッ??

 某ス○ンド使いの如く叫び、自らの不運に嘆く。
 いやまぁね??幻想入りではキャラクターが異変に巻き込まれるのは最早形式美だけれども、だけれども!!まだロクに能力も無い状態で異変勃発とかなんて無理ゲー??
 ってか半神人とはいえ能力があるかすら分からんのよ??そもそもそっち側に対する適正があるかすら分からんのよ??

 ま、待て、落ち着け。これは孔明の罠だ。エ○メロイ二世の罠だ。まだ慌てる様な時間じゃない。
 考えろ。自分に出来る事を考えろ。どうせなら楽しもうじゃないk──


 ドガァァァァァァァッン!!


 ──Why?

「爆発??」

「アレは……人里の方ですか?」

 ありゃ、口調戻っちった。ちょい残念──じゃ、無くてだな??

 爆発が起こったのは人里の方角。煙が上がっているのは──人里の横の大倉庫だろうか。
 ……つまり?

「人里襲撃されてんじゃないですかやだー!」

 なんでいきなり大規模な異変なのさーーっ!

「文!」

「分かってます!妖怪としても、アレは見過ごせません!」

 再び景色が揺らぎ、強烈な風が全身を打つ。流れる風景はどれも殺風景で、不気味さすら感じられる。一瞬だけ目に入った妖怪の集まりが、奇怪な声を上げてお互いを傷付け合っている。

「妖怪が、
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