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ドラゴンクエストX〜イレギュラーな冒険譚〜
第五十一話 激闘
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「さて、あなたの役目はこれで終わりですが……この後どうしましょうかね?」
「この後も何も、私にはもうグランバニアには居場所は無い。光の教団に身を寄せるしかない」

 震えながらも、ゲバンは何とか言葉を絞り出した。
 ゲバンの言葉を聞いたゲマは可笑しそうに笑いを浮かべる。

「何が、可笑しいのだ」
「失礼、ゲバン大臣。でも自分の境遇をまだ理解していない貴方が可笑しくて可笑しくて」

 ゲマが言葉を紡ぎだせばだすほど、ゲバンの?を撫でる指は早くなっていく。

「私は、あなたの役目は終わりと言ったのですよ。つまりあなたとはもう協力関係はなくなったという事」

 ゲマのその言葉で大臣はこれから自分がどうされるのかを察した。

「やめろ、ゲマ、頼む、何でもする。光の教団の奴隷にでも何でもなるから命だけは!頼む、頼む、どうか、ですから、それだけは!」
「さて」

 大臣の狂乱を見たゲマは、その瞳に邪悪な喜びを浮かべた。

「あなたを、この後どうしましょうかね?」

 そしてしばらくの間叫び声が響き、血が辺りに飛び散って、やがて辺りは静寂になった。


 *

 キメラとオークを倒した後私達は隠し通路を見つけて、そこを探索していたところで何かを見つけた。
 最初は周りが暗くてよくわからなかったけど、近づくうちにそれが血まみれになった人間だという事がわかった。
 すぐにベホマを使おうとした時、声が聞こえてきた。

『もう手遅れです。いかなる手段を使っても私はもう生者には戻れない』

 声がした方向を見るとそこには青白く、半透明なゲバン大臣がいた。

「ゲバン……」

 アベルは憎しみの籠った瞳で大臣を睨んだ。

『アベル王、誠に申し訳……いや、私がいくら詫びても意味など最早ありますまい。ですが私がグランバニア城を魔物に襲撃させた事、その真意だけはあなたに伝えておきたかったのです』

 そしてゲバン大臣は語り始めた。
 グランバニアという国をとても愛していた事。祖国の為に大臣になった事。でもオジロンさんが王の器ではない事を知り、オジロンさんではなく自分が国を治めなくてはと思った結果暴走して、魔物と手を組んだ事を。

「ゲバン、お前がした事は許されない事だ。例えそれがグランバニアへの思いが由来だったとしても」
『それはわかっております。私はどうしようもない程、愚かでした』

 自分を自嘲する大臣に、続けてアベルは言った。

「僕はお前がした事を許すつもりはない。……だがオジロンはお前の事を深く信頼していた。お前が魔物と手引きをしたとわかっていても尚信じていようとした。お前の言葉はオジロンに伝えておく」
『ありがとうございます、アベル王……。どうか、グランバニアに生きて戻ってく
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