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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第206話 ファントム・バレット
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わらせる!!


 キリトは大きく、更に一歩踏み込み、光剣による最大の一撃を見舞おうとした時だ。
 死銃の獣の様な反射神経は、脳の回転の速さまで、上げたと言うのだろうか、この瞬きすら許されない刹那の時に、最善の選択をしたのだ。

 それが、《メタマテリアル光歪曲迷彩》の使用である。

 姿を消し、せめて致命的な一撃(クリティカルヒット)を防ごうと言う魂胆だ。足跡で居場所は判るものの、姿を消せば 正確に狙いをつける事が出来ない。アイツ、リュウキの様な眼を持たない自分では 正確に当てる事など出来ない。

 そして、仕損じれば この大技を繰り出す故に できた自分の致命的な隙をついて、死銃がカウンターを放ち、全てのHPを吹き飛ばしてしまうだろう。

 そう、意識した時だ。……キリトの手にも、何者かの温もりが宿ったのだ。同じくよく知った温もり。その温もりが力をくれる。……あの世界(・・・・)の様に。

 リュウキは、どんな武器でもそつなく使いこなし、その全てが満遍なく強い。そして、その究極系があの世界の最終戦で使用した神業だろう。……だが、自分はそこまで器用でも無ければ器量だって無い。故に最大の力を発揮できるのは、自分が最大級にまで鍛え上げたあの装備(・・・・)しかない。


 キリトは、温もりに導かれるまま、半ば忘却の彼方だったもう1つの武器、ハンドガン(FMファイブセブン)へと伸びた。
 引き抜いてから、打ち放つまで、滑らかに出来た。数える程しか撃った事がないと言うのに、羽のように扱える。


「う……うおおおおおおおお――――ッ!」


 キリトの咆哮と思い切りの踏み込み。

 一度強く左にひねった全身を、弾丸のように螺旋回転させながら突進する。打ち放つ左手の銃。
 如何に苦手意識があった銃でも、これだけの距離であれば幾らかは命中する。……その数発は、直撃し 死銃の姿を再び顕にしていた。

 そして キリトの右手には光剣。
 なぜ、この形になったのか、それは直ぐに判った。 

 あの世界では、このスタイルだったから。この剣技で生き残ってきたのだから。……この剣で、アイツの、リュウキの背中を守ろうとしたのだから。

《銃剣の二刀流》

 キリトは、時計回りに旋転する身体の慣性と重力を余さずに乗せた右手の光剣を、左上から叩きつけた。

 二刀流重突進技《ダブル・サーキュラー》。

 エネルギーの刃が死銃の身体に、その右肩口を深々と切り裂いた。胴体を斜めに断ち切り、その身体が2つに分かれる。丁度、あの黒い銃を収めていたホルスター部分をも断ち切ったらしく、鮮やかなオレンジ色の閃光を放っていた。

 突進による威力と鮮やかな斬り口から、2つに分かれつつも吹き飛ばされる死銃。

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