暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第206話 ファントム・バレット
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て終わりだ」


 リュウキは、そう言い終えると もう物言わぬ、動かぬ死神に背を向けた。

 だが、この戦い。完勝、とは言い難く勝利の余韻にも浸れない。

 何度も受けた傷が、脳裏に感じた寒気が、まだ消えずに残っているからだ。……そう、今の状態は、HPの残り等は除けたとしても、満身創痍とも言えるだろう。強烈な疲労感も同時に身体を襲っているのだ。……だが、リュウキは倒れる事を拒否した。
 そして、感じた。


――……いや、何処かで、判っていた。……この瞬間に、キリトもアイツと、……死銃と決着をつけたと言う事を。


 心の何処かで確信したのだ。……或いは、光剣が死銃を切り裂く音を聴きとったのだろうか。

「………負ける要素なんて、お前には 何にもなかっただろ? ……キリト」

 リュウキはそれを感じ取ると同時に、ぐっ、と空に拳をつきだした。


 そして、思うのはもう1人の仲間。最後のアシストが無ければ、気づくのが遅れたかもしれない死神の攻撃手段。最高の仕事をしてくれた狙撃手(スナイパー)シノン。


 激戦を称える様に、狙撃手(スナイパー)の少女 シノンと剣士(ソードマン)のキリトへと向けて、自己主張が決して強い訳じゃないのに、リュウキは高々と拳を上げていた。

 比較的、リュウキの傍にいたシノンは、肉眼でその拳を見ていた。それを見つめると そっと微笑みを浮かべ、同じく拳を上へとあげていた。

 そして、もう1人の男、キリトも、同時に……。
















 












 それは、リュウキと死神の決着がつく殆ど同時。

 キリトが、悪夢とさえ思える過去の記憶から蘇った死銃の名、《赤眼のXAXA(ザザ)》と言う名を思い出したと同時に、幾つかの事が立て続けに起きたのだ。

 それは、リュウキの時同様に後方から飛来する一条の赤いライン。名を暴かれ、動揺している死銃の中央に音もなく、赤いラインが突き刺さったのだ。……このラインはとてつもなく大きい。……強大な捕食者の殺気をも、その赤い弾丸には込められていた。

 そして キリトも、リュウキと同じ結論に至る。

 その正体は、実弾ではなく、照準予測線。……シノンの経験、閃き、最後まで諦めずに戦い続けると言う強い信念が生み出した幻影の一弾(ファントム・バレット)

 その弾丸は、死銃を本能的に下がらさせ、決定的な隙を作った。この状況で、誤射の危険性があるのに、あのへカートを撃つ筈がない、ただのハッタリだと気づくのが、キリトが攻撃に転じるよりも遥かに遅い。

 ただ、シノンが生み出してくれたこの隙を、無駄には出来ない。


――これで終
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