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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第206話 ファントム・バレット
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からは死角の位置から伸びる弾丸。



――最後の最後まで、諦めず 闘志を失わない。彼女(シノン)の意思。



神出鬼没の死神(ファントム)を討つ、弾丸。……予測線のみの弾丸。………だからこれは、死神を黄泉へと返す 幻影の一弾。《ファントム・バレット》。だなッ!」

 リュウキは、彼女の援護を受けながら、掴んだ腕をへし折るかの様に握り締め、捻り上げつつ、引き寄せる。現実であったとしても、手に持つ銃を離してしまうだろう。……死神は、短機関銃(スミオKP/-31)を堪らず離すと同時に、己の銃 デザートイーグルを反対側の手で引き抜き、至近距離で構えた。
 そのガラ空きの腐った脳髄を吹き飛ばす為に。

 だが。





――……死神を、舐めるな。





 言葉にならない裂帛の気合、いや 凡ゆる負の感情を込めた殺気をリュウキは全身に感じた。
 この世界は、所詮は数値で定められている。(HP)も数値であり、ダメージ量、命中の補正、……etc  あげたらきりが無い。

 だが、その中ででも不確定要素だが、精神の強さが関与する事もあるのだ。……あの世界で何度もあった事だからこそ、判る。

 その現象が 死神にも現れたのだ。動転しているとは言え、あの世界では最悪、最凶とも畏れられたその凶悪極まりない精神力に物を言わせて。

 完全に体を崩し 無防備状態にしていると言うのにも関わらず、有り得ない速度で反撃に転じてきたのだ。 死神に残された最後の武器。 あの世界では死神の鎌として恐れられた曲刀、それを彷彿とさせる武器 ククリ・ナイフ。 白い目の中に濁った瞳が現れ、構えたデザートイーグルを弾き返しつつ、お返しと言わんばかりに、頭に突き立てようとしてきた。そして、歪んだ笑みが、至近距離に迫る。


 だが、この時更なる現象が起こる。シノンの援護射撃(ファントム・バレット)よりも驚く現象が起きたのだ。


 死神の腕を強く握り、極めていた筈の手が、何者かに操られる様に、ひとりでに動いたのだ。……その手は、その緊張故に、寒気さえ わき起こす、この戦場で温もりを与えてくれていた方の手だった。
 リュウキは、この瞬きすら許されない刹那の時間帯だったが、悟った。



――よく知った誰かの手が包み、温め、導く。導く先は胸元の鞘に収めているナイフ。



 あの剣の世界での決着同様に、この世界ででも、最後は剣で。……己の(ナイフ)で。


 支えて貰いながら 動く手の中にあるひと振りのナイフ。あまりにも頼りない最弱の武器。だが、今はリュウキにとってどんな聖剣よりも、魔剣よりも強いものだった。
 そう、あの時も。……そして、今も。自分をみてくれている人が、支えてくれている
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