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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第206話 ファントム・バレット
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いたのか? と心配されたのだろうか、程度にしか思っていなかったが……。
「どうしたんだ? リュウキ」
「……い、いや、なんでもない」
リュウキは歯切れが悪い言葉を返すだけだった。だが、直ぐにリュウキが首を振る。
「……
病院
(
・・
)
とは、あまり洒落になるような事じゃない、と思って、な。それに依頼主経由で警察にも連絡を入れておかないといけない、だろ」
「あ、確かに。……共犯者もそうだし、オレ達が倒した2人の事も、捜査しないといけないからな」
リュウキはそう付け加え、キリトも納得していた。
それを訊いたシノンは、やっぱり、と感じてやや照れてしまっていた。共犯者の事も勿論不安の種だが、それよりも、自分の事を心配をしてくれているのだから。
だが、それも一瞬だった。少し2人に睨みを効かせる。……まだ、訊いていないから。
「それはそうと、私にだけ個人情報を開示させて終わろうっていうの?」
その言葉を訊いて、キリトは はっ としていた。確かに名乗らせておいて、自分は、自分たちは何も言っていないのだから。
「あ、っとと、ご、ごめん。オレの名前は、
桐ヶ谷
(
きりがや
)
和人
(
かずと
)
。ダイブしているのはお茶の水だけど、家は――……」
慌てふためき、先に開示したのはキリトだ。それを訊いたシノンは軽く笑う。緊迫した状況と言えばそうなのに、それにも関わらずだ。
「キリガヤ カズト、でキリトね。確かに安易なネーミングだわ」
「って、それはシノンには言われたくないな!」
「ふふ。それで、その……リュウキの方もこんな感じだったりするの? キリトと同じ感じだって言ってたし」
シノンは、少しだけ ほんの少しだけ 表情を引き締め直した。
――心の何処かで、
彼
(
・
)
の本名を訊くのが待ち遠しかった気がするから。
それは、キリトだけが訊いていた。
あの3輪バギーの上での叫び。リュウキの名を呼ばなかったのだ。それは キリトだけしか知らない。……シノンは あの時 精神が不安定だったからこそ、何を口走ったのか、よく覚えていなかったから。
「あ、ああ。……オレの名は
竜崎
(
りゅうざき
)
。……
竜崎
(
りゅうざき
)
、
隼人
(
はやと
)
だ。現在のダイブ先は自宅d「っっ!!」っ!?」
その名前を訊いた途端、弾かれたようにシノンは動いた。己の分身とまで形容していたへカートを押しのける勢いで、リュウキの胸に向かって、飛び込んだ。
――へカートの重みも一緒に、リュウキは、隼人は背負ってくれた。シノンは、いや 誌乃はいつだったか判らない。……何処かで心の何処かでは確信していたんだ。
彼が、あの時の《隼人》だと言う事を。
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