暁 〜小説投稿サイト〜
ウイングマン バルーンプラス編
3 脱出
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
外も騒がしくなっていた。
屋上にいたギャラリーたちが、自分たちを探しているのはもれ聞こえる声からわかった。
「ねえ、美紅ちゃん、こっからどうするの?」
アオイは個室の中から、外を気にして少しトーンを落としながら、声をかけた。

美紅は器用にトイレットペーパーでふんどしを作り上げた。そして、残り少なくなったトイレットペーパーをさらしのように胸を巻いているところだった。
残りが少なくて乳首は浮き出てしまっているが、もうトイレットペーパーは切れてしまった。こんな恰好、恥ずかしくないわけがなかった。
それでも今までの格好よりはずいぶんとマシだ。胸なら手で隠すことだってできるのだ。
ただ、この恰好で街に出るのは、さすがに避けたいところだった。
それなのに……

いいアイデアはなかった。
「ごめんなさい。考えてない……」
美紅の声は申し訳なさそうで、完全に困惑していた。
アオイと桃子は驚いた。
「えっ!?」



2.
アオイも桃子も美紅の性格から考えて、次の手くらいは考えているだろうと思っていた。
しかし、美紅としてもあの状況から逃れるまでしか考えられていなかったのだ。
あれだけの人に裸を見られている状態だ。先のことまで考えれるような状況でなかったことは2人にもよくわかった。
それに、さっきまでの状況を考えればずいぶんマシだ。
当然、美紅を責める気にはなれない。それよりも思わず出てしまった驚きの声が美紅を責めているように思われたのではないかと桃子は気になった。
なんとか美紅をフォローするためにも、いいアイデアはないかと考えを巡らせた。
しかし、そんなに簡単にグッドアイデアが浮かぶわけはない。
「アオイさん、ディメンションパワーで何かできないですか?」
桃子が泣きそうな声で言った。
追いかけてきたギャラリーがすぐそこまで迫ってっきている気配が更に焦らせた。
「閃いた!」
桃子の言葉でアオイはとひとつアイデアが浮かんだのだ。
アオイは両手を上げ、頭上でクロスした。そして、叫んだ。
「ポドリアルスペース!」

するとアオイたちの周りの天地が逆転して、時間が止まった。
「え? どういうこと?」
周りの風景の異変に美紅と桃子は驚いた。
そして、思わず個室から飛び出てしまった。
「どう?」
2人をアオイが出迎えた。
「びっくりした?」
得意げな顔をしている。
2人は挙動不審者のように、キョロキョロと辺りを見回した。
水道も個室トイレも逆さになっている。
自分たち3人以外はすべて天地が逆になっているのだ。
「これはポドリアルスペースと言って、私が作り出した異次元空間なの」
そう言ってアオイはポドリアルスペースについてかいつまんで説明をした。
「それならこの姿を人には見られないんですね!」
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ