修行の賜物
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とが再確認できた。
「くっ、はぁ……」
俺は大きなため息を吐いて、不意に右手にある礼装が消えるのを感じながら大の字でそのまま仰向けに倒れた。体から流れ出る汗は尋常じゃなく、頭から足のつま先まで雨に打たれたかのようにずぶ濡れだった。
今まで精神を集中させていたこともあってか自然に呼吸を止めていて、窒息しそうだ。
つまりどういうことか、一言でまとめよう。
―――死にそう。
そんな時、セイバーが俺に近寄ってきた。
「そろそろ切り上げるかマスター。明日は初戦だからな、早めに休んでおいた方が良い」
「そうだな……」
これにはセイバーの考えに賛同だ。ここで無茶をして怪我をするのと、万全な状態で行くのとでは大きな違いがある。
もちろん万全を期して明日の勝負に臨むつもりでいるのだがその前に一つ問題があった。
「ところでセイバー……」
「ん?」
不思議そうに俺を見下ろすセイバー。
俺はちょっと言うのをためらったが、このままもじもじしていても仕方ないので重い口を開ける。
「手を…貸して…」
情けないことに全身の力はどこかへと消え、自力で動かそうとしてもまるで糸の切れた人形みたいに静止している。
さすがに四時間ぶっ続けでの練習は、自分の体では悲鳴を上げてしまうそうだ。今までは一時間ごとに休憩を少し挟んでいたが、今日は明日が対戦ともあってか休憩もなしでずっと続けていた。
「だらしがない……」
セイバーはそう言いながらも自分の剣を地面に突き刺し、俺を担ぎ上げる。
まるで布を肩に掛けるおっさんのように俺を軽々と肩に乗せると、軽快な速度で歩く。
自分より小柄な少女に担がれるというのはこれ以上ない不名誉だなと感じると共に他の誰かにこの光景を見られないよう必死に祈っていた。
が、
「あれぇ、そこにいるのってもしかして白羽?」
見られた!
特に見られたくない奴に見られた!
笑いを含んだ声が自分の耳に飛び込んでくる。
暗闇からそっと現れたのは相変わらずの笑みを浮かべた慎二。そしてその横にはつい昨日真名が判明したライダー『フランシス・ドレイク』の姿があった。
慎二はそこにいるのが俺だと確信すると、にやけた笑みが吹き出し大笑いへと変わった。
表情で不快感を表す俺をスル―し、慎二は尚も笑う。
「あっはははは!!なんだよその格好!サーヴァントに担がれて送ってもらってるのぉ!?もしかして明日の初
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