修行の賜物
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練習を終えた後、俺はマイルームに戻り重りのような体をベッドに転がせた。どうにもならない程の疲労感を感じながら俺は意識をベッドに任せようとする。が、そうしようとしたのも束の間、バンッと頭にかかる衝撃に襲われた。
「イッ!?」
反射的に顔を後ろへと向けると、そこには両手を腰に当て呆れ顔で俺を見下ろすセイバーがいた。
(あぁ……やっぱり覚えておいでですか……)
心の中で呟いたこの言葉の意味は5時間前にまで遡る。
休憩が終わり、稽古が始まろうとするとき、俺は土の中から一冊の本を見つけた。本は隠すように埋められていたみたいだが俺とセイバーが派手に練習をしていたせいでどうやら土が抉れ、中身が見えた様子だった。
「……これって……本?」
埋もれた本を取り出し、土を払う。古ぼけた本でいかにも最近作られたような本ではないことが見ただけで分かった。こういう本は普通図書館にでも置いてあるはずなんだがどうしてこんな所に本が埋められてるんだ?
そんな疑問を感じていると、セイバーがこっちに近寄ってきた。
「どうかしたのか?」
「ああ、土の中に本があったんだよ」
「本?」
俺は手に持っていた本をセイバーに渡した。セイバーは本を受け取ると、ページを開き中身を読み始める。と言ってもちゃんとは読まず、大体流し読みで物の数秒で終わった。明らかに興味なさげだな…そう感じながら見ていると、セイバーは本をぽいっとごみを捨てるかのように俺に渡した。
慌ててキャッチする俺にセイバーはこう言った。
「それは航海日誌だ。それもずいぶんと古い」
「航海日誌?なんでそんなものが…………あっ」
途中、俺の脳裏にある人物がこっちにほくそ笑む海藻類の姿が浮かび上がった。
「そういうことだ。余程オレ達に知られたくないのだろう」
そう言いながら、セイバーは話を続ける。
「マスター、部屋に戻ったあと少し話に付き合ってもらうぞ」
「あ、ああ」
では稽古に戻るぞと言いながらセイバーは背を向けて歩いて行った。ついて行こうとする俺だったがふと自分の手にある本へと視線が移る。
「これ……どうしよう……」
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そして時間は戻り、今に至るわけだ。
俺はベッドに腰かけ眠気を抑えながら離れそうになる意識を留める。セイバーは椅子に腰かけ、腕を組んだ。その表情はとても機嫌の良いものでもなく、ただため息をついていた。このままでは悪い流
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