第二章 【Nameless Immortal】
壱 バカばかりの日
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に言う。
クラリーベルたちが囲んでいるテーブルをフェリは覗き込むように見る。
「……随分とまあ、楽しそうですね」
「『ファナティック』っていうゲームですよ。テーブルトークなロールプレイング」
「はあ」
「まあ簡単に言えばとある設定の世界があって、そこに生きるキャラクターを演じてゲームをするんです」
ファナティックは宗教が蔓延したとある自立型移動都市の話だ。プレイヤーはそこに住む聖職者で掃除人の仕事についている。
宗教においては絶対なる主が存在しそれ以外の救いはあってはならない。そして主からの祝福は信徒と聖職者全てに齎されている。ハズである。
そのため主を敬わない異端者、祝福されているならありえない不幸である背信者は即刻処刑される。
また絶対なる主の元なら在りえないはずの分派も存在し、そこに属していても処刑である。
階級制度も存在しより主に近き存在である上位の者へは服従。背けば背任。
法術と呼ばれる奇跡を扱える者も存在するが、主以外が奇跡を使っては冒涜で異端認定。
そんな世界でプレイヤー達は――
「興味ありませんのでその辺で」
「そうですか。他にも機械都市や常闇世界などあるのでどうせなら今度やって――」
「他に用もあるので結構です。用事を終えたらすぐ帰ります。……今少しいいですか?」
ちょいちょいとフェリから手招きされる。
背後からクラリーベルに「勧誘しろ部長命令だ」「もっと誘いましょう」「部費と知名度の鴨葱だ」「会長の後ろ盾だ」などと好き勝手な小声が届く。
全無視してクラリーベルは素知らぬ顔をする。
「今はちょっとよろしくないです」
「え……」
「嘘ですよ」
クラリーベルは立ち上がってフェリに近づく。
フェリはポケットから封筒を出しクラリーベルに渡す。
既に封が開いていたのでクラリーベルは中を見ると三つ折りにされた便箋が一枚入っていた。そして封筒の内側に張り付けられもう一枚の紙がある。中を見たもの以外には気づかれないようにしてある。
「兄からです。渡すよう頼まれました」
「内容は?」
「知りません。ただ中の件をよろしく頼みたいと」
「なるほど」
「では私はこれで」
回れ右してすぐに帰ろうとするフェリの肩をクラリーベルは掴む。
「ここだけで十分ですよフェリ」
「何の事でしょうか」
「ですからもう一人の方は行かなくて結構です。私から伝えておきますので。そっちの方が楽でしょう? 会長にはそのように」
フェリの目が僅かに泳ぐ。だが直ぐに納得したのか小さく頷く。
「分かりました。そのように伝えておきます」
フェリが部室から出ていく。
口を広げた封筒を覗き込むクラリーベルの背後から声がかかる。
「何貰った
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