第二章 【Nameless Immortal】
壱 バカばかりの日
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福を受けすぐさまクラリーベルは蘇生します。刻印が一画消え残りは2です」
「人災じゃないですか。担当を後で審問にかけて」
「可能ですが担当は司教です。明確な証拠がなければ助祭からの糾弾など寧ろ背任とされる可能性があります」
「階級は絶対ですからね」
呻くクラリーベルはクスクスと隣の女生徒に笑われる。
体面にいる短髪の男子生徒は裏返した紙をGMに出しつつ口を開く。
「まあよくある。死に易いからの高ストックせいだし」
「あと二つなんですがそれは。今日私に厳しくないですか」
クラリーベルはジロリとGMを見る。火のついていない煙草を咥えた顎ひげの男性だ。身に着けているのはよれた制服のシャツとズボンである。
五年生か六年生かクラリーベルは忘れたが今この場における最高齢でありサークル部長でもある生徒だ。
「主は言っている。これは試練だと。神秘の煙を拒絶したクラリーベルへの試練だと」
「煙草を根に持つ主ってどうなんですかねそれは。空調直ってからにしてください」
「よくあるよくある」
うんうんと短髪の男子生徒が頷く。
女生徒が裏返した紙をGMに出す。
「よくあっては困るんですがね」
「あら、主へ苦言を呈すとは背任者でしょうか?」
「え。い、いやぁ私の不徳を見咎められ試練を課されるとは流石主は――」
「ふふ。冗談ですよ冗談」
思う事はあるがクラリーベルは口を閉ざす。これ以上ストックを減らしたくはない。
それに実際は出目が悪いだけのところもある。それは仕方のないことだ。
そのままシナリオが進んでいく。
「第二課へ着きました。部屋の中には紅髪の司教が既に待っています。集まった助祭たちの姿を確認した司教は食べていたバナナを慌てて完食し試練の説明を――」
不意に説明が止まる。顔を上げた部長の視線を追おうと背後を振り向きかけたところでノック音が部屋に響く。来客者だ。
聞こえてきたのはどこかで聴いた声だ。
「失礼します。此処にクラリーベルがいると……」
入ってきたのはフェリだ。クラリーベルの姿を見つけ言葉を途中で止める。
「本当にいたんですね」
「そりゃここの一員ですからね。それに知ってて来たんでしょう」
「ええ、まあ……」
フェリは部屋の中を見回す。
ぎっしり詰まった本棚に薄汚れた壁の染みに剥がれかけたポスター。ゲーム系のサークルなどフェリにとっては物珍しいのだろう。
「会長の妹じゃねぇか。知り合いだったのかロンスマイア」
「ええまあ。一応ゲーム中なのでクラリーベルで……というか面倒何でもう呼び方変えなくていいですよ」
「去年のミス・ツェルニだったか。知り合いとか何か凄いな。何が凄いのかわからないが」
部長と短髪男子生徒が好き勝手
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