第二章 【Nameless Immortal】
壱 バカばかりの日
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が意識を取り戻す。
「大丈夫? すぐ助けられなくてごめん」
「……」
小さく開かれた口から言葉は出ない。すぐには声が出ないのだろう。
アイシャはレイフォンに向けて小さく頷く。そして恨めしげな視線がクラリーベルを突き刺す。
「な……よ、く……ゆる……カフッ……い……ケフッ」
「ほんとすみません。忘れてました」
クラリーベルは指を二本立てた手をアイシャに向ける。
「何本か見えますか?」
「……一本」
「片方へし折ろうとするのは止めてください」
指を振りほどいたクラリーベルは身を屈める。
抱え上げるべく身を寄せたクラリーベルが小声で言う。
「ワザとでもやり過ぎですよ」
「……あれが一番早い」
嘆息しつつクラリーベルはアイシャの体をグイと持ち上げる。体を捻ってアイシャを背負う。
「まだ辛いでしょうし途中まで運びますよ」
「……」
「首絞めてもいいですけど全力で背中から倒れますから」
「……チッ」
仕方がないので二人分の買い物袋をレイフォンは持つ。クラリーベルが持ってきた方を見るとやたらと高そうな肉と一緒に黒マントとトマトジュースが入っていた。何故かレイフォンは優しい表情になる。
レイフォンは改めてニーナに向き合う。もうこれ以上、今話すことはない。
「僕たちはそろそろ行きますね」
「……ああ。済まなかったな」
力なく視線を俯かせたニーナが言う。背中を向け三人から去っていく。
レイフォン達はバス停へ向かって行った。
コロコロ
コロコロと
命を有様を決めるダイスが転がる。
どれだけの努力を積み重ね知略を尽くしたところで最後は運になる。
結局のところ人の行いでは天の采配には勝てない。小さな足掻きなどどうしようもない力の前には押し潰される。
だからこそ運も実力のうちだと言われる。それが無ければそもそも何もなせないから。
だからこそ人は皆祈るのだ。それを自分の力と出来るように。
コロコロと転がるサイコロの行方に祈るのだ。
「あ、ファンぶった。扉を開けた途端セキュリテーが作動しました。けたたましいアラームと共に先頭にいたクラリーベルが通っている途中で扉が閉まります」
「ちょ、全力で後ろへ逃げます」
「駄目です。足元に落ちていたバナナの皮を踏んで転倒しました。押し潰され首から上が肉塊になりました」
「ぬああ! ええ……」
6%以下の可能性を引き当てたクラリーベルが頭を抱える。
同卓している他三人にも笑われる。
「どうやらセキュリティの認証登録に遅延があったようです。数秒遅れ認証されました。信仰主による祝
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