第二章 【Nameless Immortal】
壱 バカばかりの日
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を極める。
不意に引っ張られたこともありアイシャは体勢を崩す。そのせいで回されたクラリーベルの腕が余計に極まり変な声が漏れる。
「言い過ぎですよ。それとその台詞、あなたが言うと反則です」
「――ッ、―――! ァ、――」
「思う事が無いわけじゃないですが一方的過ぎます。多少は相手の都合を知ることを覚えた方が良い。場合にもよりますけどね」
クラリーベルの視線がニーナに向けられる。
ニーナはまだ目の前の事態に困惑していた。
「すみませんニーナさん。アイシャさんはまあ、色々あってこういう子でして」
「いや……そうだな。確かに前たちを責める様な事を言ってしまった」
「初陣が死戦なら思う事もあるでしょう。戦い抜いて生き延びたなら今回はそれでよろしいかと」
「そう言って貰えると助かるよ」
ニーナの表情が少しだけ和らぐ。
「それと一応弁解を。先ほど知らなかったはずがないと言われましたが実際は本当に知らなかったんですよ。聞こえは悪いですが幼生体くらいなら大した損傷はない思ってしまったもので。その辺りは申し訳ありません」
「……謝られるだけこちらが惨めになるな。それは」
お前たちがそこまで弱いとは思わなかった。
遠まわしにそう告げられたのと同意だ。そしてそれに反論できるだけのものをニーナは持っていない。
「だが、そうか。そちらとしての理由はあったのか」
「前に言いましたが禁じられていますので。極力動きたくないのもあります」
「確かに言っていたな。だがそれはそこまで……」
「ええ。もし表だって手伝うことが有ればそれがこの都市にいる最後かと。余程の場合を除き武芸科で対処出来るなら手を出したくありません」
「……それは一人二人程度なら死んでも、か?」
『大した損傷はない』とさきほどクラリーベルは言った。
それは裏を返せば少しは損傷が出ると思っていたという事だ。
それを止められる力があるのに。そうニーナは暗に言いたいのだろう。
だが当然だという表情をクラリーベルは浮かべる。
「戦えばいつか人は死にますよ。それは変えようがない事です。ねえ、レイフォン?」
「……え、ごめん。何?」
「いや話くらい聞いててくださいよ」
簡単にさっきの内容をレイフォンは教えられる。
なおレイフォンが話を聞いていなかったのは別のモノを見ていたからだ。ニーナに意識を向けるクラリーベルはただの抵抗と思ったのだろう。明かに変な動きでアイシャの体がビクンビクンと動いていた。
「確かに死ぬときは死ぬかな。何度か戦場で見たおじさんがある日いなくて後から死んだって聞いたし」
グレンダンでさえ戦死者は出る。それをレイフォンは何度か経験している。
いくら武芸者の質が高くても戦場に絶対はな
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