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剣の丘に花は咲く 
第十六章 ド・オルニエールの安穏
第二話 悲喜劇
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と共に地響きを轟かせ掛けてくる騎乗の一団に、突然怒鳴られ気が立った市民の一部が反発し怒声を上げる。しかし、その結果、相手を更に激高させる事にしかならず、先頭を駆けていた女騎士がいきなり剣を抜き払った。

「いい度胸だッ!! 陛下の銃士隊と知ってその狼藉かッ!! チェルノボーグの監獄で頭を冷やしてやろうッ!!」

 陛下の銃士隊とチェルノボーグの監獄という言葉に、市民たちから恐怖混じりのどよめきが上がった。
 銃士隊と言えば女王陛下の近衛隊である。
 しかも若い女性で構成された隊であるためか、舐められないようにと隊士たちの働きは激烈の一言に尽きる。いまや市民の間では銃士隊は恐怖の代名詞と言っても良かった。
 銃士隊と知り、更には剣を抜き放ち怒号を上げるアニエスの姿に、市民たちは慌てて蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
 あっという間に市民がいなくなると、フードを奪われもみくちゃにされ、ぼろぼろになった士郎が息を切らしながらも、馬上のアニエスに頭を下げた。

「す、すまない。助かった」
「ふん。救国の英雄様が随分な有様だな」

 意地の悪い笑みに士郎が苦笑いを返すと、アニエスは馬から下りて一通の書状を手渡してきた。

「まあいい。手間が省けた。ちょうどお前にこれを届けに行くところだったのでな。トリスタニアにいたとは知らなかったが、行き違いにならずに済んで良かった」
「これは?」

 手渡された書状を見下ろした士郎は、その書状にトリステイン王家の花押が押されていることに気付き、すっと目を鋭く細めた。

「何か、あったのか?」
「分からない。知りたければ陛下に会って聞くことだな」
 





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