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アニー
5部分:第五話
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想していたものではなかった。
「何処も悪くはないですね」
「そうですか」
 それを聞いて意外に思わざるを得なかった。
「何処か悪いんですか?試しに運転してみましたけれど凄くいい車じゃないですか」
「普段はそうなんですけれどね」
 彼は言った。
「けれど何か急に調子が悪くなったりするんです」
「女の子がむくれるみたいにですか?」
「面白い例えですね」
 それを聞いて笑わずにはいられなかった。
「まあ大体そんなところですね」
「そうですか。見たところ美人ですしね」
「ええ」
 愛車が褒められて悪い気はしなかった。
「おかしなところは本当に何もないですよ。それは保証します」
「そうですか」
「ええ。もし何かあったらお知らせ下さい。まああと何年ももつでしょうね」
 逆に太鼓判を押されてしまった。それを聞く限り本当に悪い部分はないようだ。だが実際に運転してみるとやはり動きが悪い。ヘンリーにはもう訳がわからなくなっていた。



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