File.1 「山桜想う頃に…」
[ 同日 PM1:24
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殺人者が複数居たことを匂わせた。
確かに、ここへ埋葬されているのは、幾つもの時代を跨いでいるはずだ。だが…そんな幾つもの時代に、恐ろしい殺人者が居たなんて…。殺された方はたまったもんじゃないな。たとえ死して滅んだ後だとしても…殺した者と一緒だなんて…。
「だから…二人分の墓しか残らなかったんだ。」
藤崎は、一人納得したような顔をして言った。私も何となくだが、藤崎の考えを理解したのだった。
あの墓に眠る二人の女性…その想いが、この中では一番強かったんだろう。殺された時、その想いが様々なものに染み着く程、この二人の女性は何かを想ったんだ…。
「英二…。この二つの墓に眠る人は、何かしらの罪を負わされて殺されたのかも知れないな。」
「罪…ねぇ。この二人じゃなくとも、他に多くが殺され、ここに埋葬されてるんじゃないのか?」
「そうだ。だが、この墓だけは違うような気がするんだ。この二人の想いは、他を圧倒する程に強かったんだと思う。だから…その想いが強すぎたから、他の事件が連鎖的に起きたんじゃないのか?」
藤崎がそこまで言った時だった。私達の視線の先、そこにある墓の前に一つの影が浮かび上がった。私達はそれから目を離すことが出来ず、それを見詰め続けた。
暫くすると、その影は女性へと変貌し…ゆっくりとこちらへと振り返った。
私達は冷や汗をかきながら、振り返った女性の顔をみたのだった。
「…!?」
私達は声すら上げられなかった。その女性には…顔がなかったのだ。
だが、そこへ不意に別の感覚が起こったのだった。
「あ…!!」
それは独特な浮遊感だった。そう…私達の足元が、なんの前触れもなく崩れてしまったのだ。
「おい、どうした!」
携帯の向こうで、松山警部が異変に気付いたようだった。しかし、私達は深い闇の淵へと落ちてしまい、そこでふつりと記憶が途絶えてしまったのだった…。
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