File.1 「山桜想う頃に…」
W 4.10.PM9:17
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。一人は藤崎だが、他三人は警察関係者だろう。一人はスーツを着て、一人は警官服を着ていた。残る一人は白衣を纏っているから、恐らくは検死官だろう。
「はい。私が相模です。」
「私は警部の松山だ。この藤崎君から大体の話は聞いたが、君からも聞かせてもらいたい。あ、瀬崎君。一先ず調べてくれないか?息があれば救急も来てるから、直ぐに搬送出来るから。」
この松山って警部…本当に警部なのか?こんな暢気にやっていて、生きてたら大変じゃないか…。瀬崎って奴も、どう見たって病院の医師には見えない。ま、心肺停止は私が確認したから警察を呼ぶ様に言ったんだが…。それにしたって…なぁ…。
「警部。やはり毒による中毒死だと考えられます。これは隣町まで搬送して検死解剖してみないと…。」
「死亡推定時刻は?」
「彼から聞いた話と合います。死後三十分は経ってないと思います。しかし…人工呼吸しなくて良かったですよ。」
何だか変な発言をしているなぁ…。一応、隣の部屋には旦那さんがいるんだが…。
「なぜだ?」
「口の中なんですが、なぜか毒物がかなり多く残ってるんですよ。普通、自殺でも他殺でも、こんなにはっきり分かる程は無いと思いますよ?」
「はぁ?」
松山警部は眉間にシワを寄せ、瀬崎のところへと行った。化学反応で調べてるんだろうが、濃度が高いと言うことなんだろう。
「瀬崎。こりゃ…どういう意味だ?」
「簡単にいいますと、これだけの濃度であれば、軽く数十人は殺害出来るってことです。あ…これ、何ですかねぇ?」
会話の最中、瀬崎が何かを見つけたようで、亡くなった女将の口の中にピンセットを入れて何かを取り出した。
「桜の花弁ですかねぇ…。」
松山警部も、取り出された花弁をまじまじと見ていたが、不意にこちらに振り返って言った。
「不思議なんだが、何で毒だってのが分かったんだ?それに、お前達の頭や肩に付いているそれ…桜の花弁に見えるんだがなぁ…。」
そう言われて、私は頭や肩を手で払ってみると、数枚の淡い桃色の花弁がハラハラと舞い落ちた。それは小さな花弁で、一目で山桜のものだと分かった。だが…あるはずがない。だとすれば、考えられることは一つだ。
「京…これ、昨日の…。」
「そうみたいだな…。」
私と藤崎は顔を見合せていると、松山警部は不審がって私達に言った。
「君達、ちょっと署までご同行願おうか。佐野君、この二人を車までご案内して。」
「ちょっと待って下さい!私達は昨日この旅館にきたばかりですよ?事情聴取でしたらここでも良いじゃないですか。」
「まぁな。だが、一緒にきてもらう。佐野君、直ぐに署まで連れてってくれ。」
松山警部は有無を言わさず、佐野さんに私達を警察署へと連れて行くよう言ったのだった。
「京…。」
「ま、仕方ないか。昨日のことは話して
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