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のは、資材やら食糧やら雑貨やら、一括りして物資。
前線拠点である砦を支えるためのもろもろの補給であり、荷馬車に積まれている全部の荷物がそれだ。
―――そして、そんな荷物の仲間入りしているのが僕です。
前方と上下左右を物資で囲まれた薄暗い荷馬車の中で、膝を抱えるようにして縮こまっていた。
屈んだ人一人が入れる程度の空間にすっぽりと収まってはいるが、一歩も歩く事も出来なければ立つ事も出来ない。
御者席に空きが無い以上、荷台にしか座れる場所はなく、追いやられるようにしてここにいる。
この扱いに納得がいくのか、と言えば納得出来なくも無い。
傭兵とは兵士である。 傭兵とは雑兵である。
更に身も蓋も無い言い方をすれば、剣や盾といった武具のような扱いも同然である。
傭兵には色々いるが、もちろん弱い人も結構いるものだ。
護衛を生業とする人は腕もあるし、実績が保障になるから、それと比べれば戦闘の心得に歴然の差がある。
凄腕の傭兵であるか、もしくは傭兵団であれば一部隊の“戦力”としての扱ってくれる場合も多い。
だから普通の傭兵の扱いは大抵おざなり。
傭兵も不満はあれど、ほとんどはそういう扱いされるものだと自覚している。
それも荷物番もどきなら、物資と一緒に詰め込まれる扱いをされてもあまり文句も出せない。
まぁ、しかしだ。
何と言うかだ、こういう事には実は慣れている。
戦場で逃げ隠れして、狭い所に体を縮こませて身を潜めた経験が豊富なため、それほど窮屈な思いはしていない。
これもまた仕事だと思えば、自分は傭兵なのだから文句は無い。
あ…ごめんなさい、やっぱり窮屈です。
むしろ物理的にちょっと無理があります。
荷物が圧迫して酷い事になってます。
狭くて息苦しくて、マジで身動きも取れません。
ま、まだ目的地に着かないかな〜…?
外の様子がわからないからどれだけ移動しているか、どれだけ時間が経っているか感覚がわからない。
ここでは訊いても答えてくれる人もいないから、ボ〜っとして到着するのを待つしかない。
ガッタン。
ゴットン。
ガッタン。
ゴットン。
………荷馬車に揺られていて、ふと思った。
「(………僕、この状態でどうやって“処理”
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