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逆さの砂時計
生の罪科 1
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『誰かに迷惑をかけてはダメ。皆、生きる為に精一杯頑張ってるんだから。私達は私達で、頑張って生きていきましょうね』

 はい、お母さん。
 でも、頑張れる場所が無いんだ。
 奪うしかできないんだ。
 迷惑だって知ってる。解ってるよ。
 でも、他にどうすれば良いのかが、僕には分からないんだ。
 ただ、食べたいんだ。
 バカみたいに食べて、腹を満たしたい。

 汚い罪人なんだ。僕は。

「アリア様」

 お母さんが僕にくれた水鳥のペンダントは。
 お母さんを殺した兵士達に奪われて、跡形もなく壊されてしまったけど。
 お母さんが信じていた教えだけは、今でもしっかり覚えてる。
 そこには、僕の行いが悪であると、はっきり刻まれていた。
 罰せられるべき、悪行であると。

 なら、僕は裁かれるべき罪人だ。
 生きることを認められない、悪の権化だ。
 これ以上生きていても、お母さんに嫌われるだけじゃないか。

 でも、食べたい。生きたい。
 このまま死にたくない。
 死にたくなんかない。

 生きてたって、何かをしたいわけでもないのに……っ!

「アリア様」

 赦してください。
 この罪深い魂を、赦してください。赦してください。
 赦して、赦して、赦して、赦して、赦して!!


「君、アリア信徒なの?」


「!?」
「そっか……。それじゃ、仕方ないのかも知れないね。このバーデル王国のお偉いさんは、アリア信仰を敵視してたから」

 …………誰?
 お母さんと同じ、大きくて真っ黒な目と、肩まで伸びる真っ黒な髪。
 でも、僕より背が高い男の子。

 まさか、村の人間!?
 逃げなきゃ捕まっ……、

「待って! これ、あげるよ」

 逃げようとした僕の右手を取って、何かを掴ませた。
 握った手の中で、じゃらりと音がする。

 ……これは、お金?
 開いた手のひらの上で、月光を受けて光る銅貨が三枚。

「なん、で?」
「君がこれからを生きていく為の足掛かりになれれば良いなと思って。施しだろうとなんだろうと、君は受け取るべきだ。これ以上畑を荒らされても、こちらが困るからね」

 ……銅貨三枚で、どうしろというんだろう。
 村でイモを一つ買ったら終わりだ。
 でも、多分これが、この男の子の精一杯なんだ。
 自分の村を護る為に、できる精一杯を選んだ結果。

 この男の子は悪じゃない。
 僕とは違う、善い人間。
 お母さんと同じ、綺麗な人間。

「…………ありがとう」
「うん。君、アリア信徒なら、アリアシエルかアルスエルナ王国を目指すと良いよ。どっちもまだ落ち着いてないみたいだけど、バーデル王国よりは、ずっとましだと思うから」

 隣国
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