暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
53.激戦外
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化させる神話上の化け物。
 あれがアレイストと海原、赤髪の青年を倒したのだと直感的に理解する。
 女性型の眷獣は突如として甲高い奇声をあげる。思わず耳を塞ぎこむ。
 すると女性型の眷獣の後方の空間が陽炎のように揺らぎ出す。次の瞬間、揺らめいた空間に亀裂が走る。
 亀裂は徐々に広がり割れ目へと変化していく。
 空間制御の眷獣。そう思った時、割れ目から黒い塊が溢れてくる。
 いや、黒い塊は蠢きながらその大きさを広げていく。
 柚木は不意にその正体に気づいて体中に悪寒が走る。
 その正体は無数の蛇だ。何十、何百、いや、何千という蛇の群れが空間の割れ目から溢れて続けている。
 あれが全て女性型の眷獣の能力なのだろう。しかしただの蛇だけで“神意の暁(オリスブラッド)”の吸血鬼たちがここまで追いやられるわけがない。
 金髪の吸血鬼は指の骨を鳴らす。その音を合図に無数の蛇たちがこちらに向かって襲いかかってくる。
 あの蛇の攻撃を一体でも受けてはならないと吸血鬼の直感が告げる。いや、生物的な生命の危機に直面した時の感覚。しかし吸血鬼が死ぬことはない。ましてや伝説の吸血鬼“神意の暁(オリスブラッド)”の血脈が流れる者の再生能力は世界最強の吸血鬼たちである真祖にも匹敵する。
 だが、あの攻撃を受けてはならない。そうすれば確実に柚木は死を迎える。

「光臨して、アテーネ───ッ!?」

 神々しい黄金の翼を持つ梟が柚木を守るように翼を覆う。
 まるで氷でも落下してきているかのような激しい音とともに梟は苦痛な声をあげる。

「ごめんね、アテーネ」

 “真実を語る梟(アテーネ・オウル)”の翼がある限り蛇たちの攻撃を受けることはないはずだ。
 まだ女性型の眷獣の能力はわからない。それでもあれが“神意の暁(オリスブラッド)”の眷獣である以上は《真祖殺し》の力が宿っているのは確かだ。
 どちらにせよ柚木も永遠に“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”を維持できるわけではない。しかし同時にそれは相手も一緒だ。どちらかの眷獣が魔力切れで消滅するまでの勝負だ。
 それに金髪の吸血鬼は先ほどまでアレイストと海原と戦っていたことで魔力は確実に少なくなっている。ならばこちらに少しでも分があるはずだ。

「もしかしてこのままなら勝てるんじャねェかって思ってんじゃないよなァ?」

 “真実を語る梟(アテーネ・オウル)”の魔力を無力化するパァン、という無数の乾いたの中に紛れて絶望の声は聞こえた。
 その声に柚木が身構えようとした瞬間だった。
 甲高い鳥獣の叫びが響いた。それは考えるまでもなく柚木を必死に守り続けている“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”の叫びだった。

「アテーネ───ッ!?」

 目の前に広がる光景が現実なのか
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