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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
53.激戦外
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振動が大気を伝わって柚木の身体へと襲いかかってくる。まるで空気そのものが暴れているようだ。
とてつもない魔力同士がぶつかり合っている場所まではまだ一キロ近くは離れているはずだ。そのはずなのにまるで目の前でぶつかり合っているかのように感じる。
体の震えが止まらない。ここで歩みを止めれば足が竦んで動かなくなってしまいそうだ。
それでも行かなければ、彩斗があの場所にいないということを確かめなければならない。
もし仮に彼がこの祭典に参加しているならば“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の誰かと戦っているに違いない。
そんなことを再びすれば確実に彩斗は殺される。
海原が暴走した時だって運良く生き残ることが出来たとした言いようがない。しかし、今回もそんな運良く生き残ることができるわけもない。
あの時のことを思い出す。彩斗が持っていた銀の刀。あれがなんなのかはわからなかったが、魔力の塊である眷獣を切り裂き消滅させるだけの力を宿し刃。
その気配が異質な魔力がぶつかり合っているあの場所で感じる。それに彩斗がいるという保証はどこにもない。それでもどれだけの言葉を並べて否定しても足は止まろうとはしなかった。
「……彩斗」
息が切れてくる。足の動きが鈍くなる。心臓が激しく脈打つ。身体中が悲鳴を上げだしている。
それでも柚木は異質な魔力がぶつかり合う戦場へと足を運んでいく。
二人の息の切れた呼吸が爆音響く街の中へと吐き出されてはすぐに大気に溶けていく。
足は千切れそうなくらい痛い。身体中に足りない酸素が補おうと呼吸はさらに荒々しくなっていく。
それでも足を止めるわけにはいかない。一刻も早くこの場から逃げて母親を探さなければいけない。
「だ……大丈夫、か……」
「う……うん、ボクは平気だ、よ……」
彼女の口からこぼれた言葉が嘘だということはすぐに理解することはできた。しかし彩斗にはどうしてやることもできない。
それだけ彩斗は無力な存在なのだ。
勝手に祭典に首を突っ込んで、奇跡的に三人の吸血鬼を止めることができたからと図に乗っていた。結局、全部誰かに助けられてながら運よく倒すことができただけだというのにそれを自分で倒したなどの思い込んだ結果がこれだ。
誰かを守ろうとして結局自分が守られて周りの迷惑をかけているだけの愚か者じゃないかよ。
考えれば考えるほどに自分がどれだけ無力で愚かで自分勝手だったかが見えてくる。
今はそんなことよりもとにかく早く美鈴を見つけ出すことだ。
あの金髪の吸血鬼は本格的にまずい。人間である彩斗でも彼の危険度は一瞬でわかった。
普通に考えればあれだけの人数の“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”がいれば、いくら手負いの状態だとしても一人
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