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乱世の確率事象改変
狂い咲く黒の華
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悪の事態を頭から追い出しながら。

 しかし……漸く切片を見つけた。

 聞いた話はいつも通り。
 彼にありがちで、彼しかしないこと。
 ただの通りすがりで行ったおせっかい。
 他者に任せておけばいいのに首を突っ込む悪いクセ。

 自分が救えるのなら、救わずにいられない。

 周辺を捜して幾分。彼女は細い路地に入り込み……異様なモノを目にいれた。

 知っている。アレは知っている。あの女を……詠は知っている。

 白を基調とした蝶のような衣服。艶やかな蒼髪は憧憬の対象だった。
 自分が作り上げられない彼との関係を持つ、僅かな期間だけ仲間だったモノ。
 交わした言葉は少なく、性格は人づてでしか知らない。

 だが、彼の大切な、本当に大切な友達。
 自分も仲良くしていこうと思っていた、劉備軍の中でも憎むことの無い人物。
 そして……雛里と詠と月の恋敵。


 その女に押し倒されているのは間違いなく、自身が恋心を持ってしまった大バカ者。

 重なる身体、近づく顔と顔。
 湧き上がる激情から、詠は眉を吊り上げて大きな声を上げた。

「……っ……なにやってんのよこのクソバカぁ――――――――――――――っ!」


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