4部分:第四章
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第四章
その鳥が燃え盛り床の間で暴れているのだ。袁は婚礼の時の服のままであり同じ様にその時の服のままである花嫁の一人を己の後ろに庇って部屋の端にいた。その手には剣がある。
「若旦那様!」
「御無事ですか!?」
「この鳥は」
「わからん」
袁は部屋に入って来た自分の家の使用人達にこう告げた。
「しかしだ」
「しかし?」
「何かあったのですか?」
「左側にいた花嫁が急に動くとだ」
彼は話すのだった。
「不意にあの鳥になり私に向かって来た。しかし私に目に嘴をやる寸前で何かに弾かれそしてだ」
「そして」
「どうなったと」
「不意に炎に包まれだ。あの有様だ」
「そうだったのですか」
「それで」
「あれは何だ?」
袁は今度は鳥を指差して問うた。鳥は恐ろしい声をあげ続け部屋の中でもがき苦しみ続けている。
「見たこともない禍々しい鳥だが」
「羅刹鳥です」
ここで道士が話した。
「あれは羅刹鳥といいます」
「羅刹鳥!?」
「それは一体」
「詳しい話は後です。それよりです」
道士は懐からまたあるものを出して来た。それは木剣だった。
それでその羅刹鳥を打つとだった。鳥はこれまで以上に恐ろしい鳴き声をあげて床に落ちた。そうして事切れ最後には灰になって消えた。火は何処にも燃え移らなかった。
鳥が死んでからだ。道士は袁や花嫁にその父、それと屋敷の者達や花嫁の連れ一同といった全ての者に対して話すのであった。屋敷の中は一転して深刻な場になった。先程まで宴が行われていた場所であってもだ。
「羅刹鳥というのは墓地の死体の気から生ずるものなのです」
「墓地の気からといいますと」
「ではあれは」
「そうです。普通の鳥ではありません」
まさにそうだというのだ。
「妖の類です」
「そうだったのですか」
「ですからあの時墓地の前を通るのを避けようとされたのですね」
「そうです」
こう花嫁の父の問いに答えた。
「だからだったのです」
「それでなのですか」
「そのせいで」
「はい。あの鳥は姿を変えることができ」
花嫁の姿になったそれだった。今では羅刹鳥が花嫁に化けていたのは言うまでもないことだった。何故ならその二人のうち一人がいないからだ。
「そして」
「そしてなのですね」
「そうです。そしてです」
こう話していく。
「人に祟りとりわけ人の目を好んで喰らいます」
「だからあの時」
袁は自分の目にその右手を当てて述べた。
「私の目をですか」
「その通りです。そしてあの札は」
「護りの札でしたか」
「そうです。魔物を防ぐ札でした」
白い札についての話である。
「それを使ったのです」
「そうだったのですか」
「それが役に立ってくれました」
彼はそれを心から有り
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