殺された男
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のうえで言う。
「その時はね」
「それから前に話したけれどさ」
「二人でずっとね」
「ああ、楽しく暮らそうな」
このことも穏健に告げる。
「それでいいよな」
「勿論よ」
こう話してだった。二人はあらためて意を決した。そうしてだった。
ある日のことだった。異変が起こったのだ。
「ねえ」
「どうしたんだ?」
部屋に帰ってきてその扉に来た時だった。声をかけられたのだ。
「急に」
「髪の毛が落ちてるわ」
穏はこう久満に言ってきたのだ。
「いつも扉にかけてるのが」
「あれがか」
「つまりこれは」
「いよいよってわけか」
「ええ、そうよ」
穏も真剣な顔になっていた。
「これはね」
「じゃあ、穏」
久満はここで彼女を護るようにして前に出た。
「気をつけろよ」
「そうね、何時出てきてもおかしくないわね」
「武器があればいいんだけれどな」
「はい、これ」
ここでだ。穏は二つのものを出してきた。
一つはスタンガンだった。そしてもう一つは二段式の特殊警棒だった。その二つを久満に対して出してみせたのである。
「どちらも使って」
「これも用意していたのかよ」
「いざって時の為にね」
そうだというのだ。
「だから。使って」
「ああ、わかった」
久満は彼女のその言葉に頷いた。そうしてだった。
スタンガンも警棒も受け取った。そのうえで部屋の中に入ろうとする。鍵は開いていた。だからただ開くだけで中に入ることができた。
久満を先にして部屋の中に入る。部屋の中は暗かった。
だがそれでもだ。久満はすぐに部屋の扉の傍のスイッチを点けた。それで部屋を明るくさせるとだった。部屋の奥から音がした。
「いるな」
「いるわね」
久満と穏は顔を見合わせて頷き合った。
「間違いなくな」
「部屋の中にね」
「よし」
ここでだ。久満は扉の鍵を閉めたのである。
「これでいい」
「相手が逃げられないようになのね」
「ああ、そうさ」
その通りだと。穏に対して答えた。
「開けようとしてもその間に追いつけるからな」
「そうね。それでいいわね」
「ああ、行こう」
また言ってだった。そのうえでさらに先に進んだ。
部屋の奥に入ろうとする。だがここで。穏が囁いてきた。
「隠れてるわよ」
「隠れてるか」
「ほら」
窓を指差す。するとだった。
その窓の端に何かが映っていた。白い何かが。穏はその白いものを指差してそのうえでだ。久満に対して囁いたのである。
「あそこにね」
「あれか。あいつか」
「迂闊に飛び込んだらそれで終わりよ」
「隠れてその
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