第7話「にゅうぶ」
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..んぇ?」
まるで犬のように隣でがつがつと食べる丈槍に思わず突っ込む。
「...んぐ、だって美味しいんだもん。」
「いや、だからってそんな速いと喉を詰まらせるぞ?口周りも汚れてるし。」
あーあ、こんなに汚しちゃって。とりあえずハンカチで拭いとくか。
「わっ!むぐ....!」
「......。」
....なんか、丈槍の口周りを拭いてるとよく分からん感情が湧いてくる。
「...どうした?」
「いや、なんか...幼い妹がいたらこんな感じかなって...。」
「あー...なんか、分かるな。」
恵飛須沢も丈槍の印象がそう思えるようだ。
ガタッ!
「.........っ。」
「ど、どうしたの悠里さん...?」
「っ、い、いえなんでもないです...。」
突然立ち上がった若狭に恐る恐る先生がそう聞く。しかし、若狭はなんでもないと答え、再び椅子に座る。
「(...なんだ...?)」
“妹”という単語に反応した気がしたが....。
「(....あまり、深く聞くべきじゃなさそうだな...。)」
こんな状況だ。勝手に人の事情に踏み込んで精神を壊してしまったら元も子もない。
「ところで遼君はこの後どうするの?」
「ん?あー...そうだな....。」
特に考えてなかったから、丈槍の言葉に答えられない。
「....まだ、仮入部だから、正式に入部届を出す手続きをするつもりだ。」
「あっ、そっか。だからさっき“一応”とか言ってたんだね。」
丈槍の今の認識に合わせた言葉を選ぶ。...結構難しいな。
「じゃあ私は先に行ってるね!」
「...おう、授業で寝るなよ。」
ビシッと敬礼的なものを決めて、丈槍がそう言う。それに対し、恵比寿沢が合わせるように何とか返事をする。
「....さて。」
「うん?今度はどこ行くんだ?」
立ち上がった俺に恵飛須沢が聞いてくる。
「俺、今制服を持ってないんだよな。全部家に置いてきたから。丈槍に不思議に思われないためにも、ちょっと制服を取ってくるよ。」
「取ってくるって...家からか!?」
一応、そのつもりなのだが...。
「そ、そこまでしなくてもいいですよ!確か、購買部にもあったはずですし...。」
「...相変わらず設備いいなこの学校。」
おかげで色々助かってるんだけどな。
「じゃ、早速行ってくる。」
「...それなら私がついて行くわ。」
「めぐねえ!?」
先生が名乗り上げた事に驚く恵飛須沢。...そうか。購買部があるのは確か二階。バリケードの外は危険で、
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