暁 〜小説投稿サイト〜
26歳会社員をSAOにぶち込んで見た。
第十一話 十二月
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後。
「いや……そうじゃなくてさ。 本当はウチが描いてる途中のBL本を渡して、あっちの世界への布教を……」
「やめろォ!」
 やっぱコイツはロクでもないやつだった。
 そんなこんなで、クリスマスイヴは終わっていく。
 一年に一度の聖夜はこうして、恋愛も何もあるはずもなく、終わっていくのだった。




――――――





「やぁやぁ。 いやまさか。 君があんな行動に出るとは思ってなかったよ」
 0の酒場で、ザサーダがオーバーリアクションでそう口にする。
 その横で、ユイツーはアルス達が写るウィンドウを開きながら、含んだ笑みを浮かべた。
「私としても驚きです。 あんな一般プレイヤーに、突出する要素が特にないあんな二人と、単なる何の変哲もないPT狩りをするなんて。
ああ、でもアルスさんは別ですね。 私達を認知した数少ないプレイヤーです。 ま、特殊な要素はその程度ですけど」
 そんな彼女達の反応に。
 天国の扉は、黙ってカルーアミルクを口にした。
 今、この場にはたった三人しかいない。
 ザサーダ、ユイツー、天国の扉だ。
 その中でザサーダとユイツーだけが一方的に喋っている。
「クリスマスイヴ。 一年に一度のイベントにそんなことをするとは、まぁある意味、ロマンチストなのかもしれないね。 君は。
ウチの男共はこんな日でも懲りずに仕事に励んでいるよ」
「全く。 品がありませんよね。 私は止めたんですけどね。 ウスラ君がどうしてもって聞かないから……。
こんなに可愛い私達を前にして、『リア充爆発しろ、俺が爆発させてやる』なんて言って出て行ったんですよ?
今夜は10人PKするまで帰ってこないそうです」
 そんなことを、愉快そうに語るユイツーに、天国の扉は、ようやく顔を上げた後。
「……なるほどな。 意欲的で非常に結構なことではあるのだが……」
 そこで一度区切った後。
「普通というのは、案外悪くなかったな。 アルスというやつも、実際に触れ合ってみて、印象が非常に変わった」
 そんなことを、ポツリと口にした。
「……へぇ。 これは中々どうして面白いじゃないか。 そう思うだろう? ユイツー?」
「ええ。 これはこれは、非常に面白いシナリオが描けそうですね。 先生」
 ザサーダとユイツーは互いにそう言葉を交わして、クスクスと笑い出す。
 それを不快に思ったのか、天国の扉はザサーダとユイツーに対して目を細める。
「おっと。 いやいや、悪く思わないでくれ。 まぁ君のやり方に文句をつけるつもりはないさ。
その結果を見せてくれれば結構だ」
「そうですよ、ヘヴンズドアさん。 天国に最も近い貴方を、私達は最も信用していますから」
 二人はそれだけを言い残し、その場から消えていく。
 残された天国の扉
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