第十一話 十二月
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人公とヒロインみたいだろ」
いや、ごもっともだ。
ラノベのテンプレっていうのは恐ろしいもんだな。
しかしああいうのがウケてるんだから世も末だぜ。
リアルにああいうのになったらたぶんラノベの愛読者の8割はヒロインに耐えられないだろうな。
実際、今の俺がそうだ。
個人の時間を削られすぎるのはそれなりに苦行だ。
いや、こんなんだから彼女も出来ないんだろうけどな。
大体考えてみろよ。 1人の時はそれなりに自由気ままに動けてたのが、この束縛感。
愛は束縛じゃないというけど、別に俺コイツと付き合ってるわけじゃないからな。
はっきり言えば友情すらも怪しいところだ。
「まぁラノベの話は置いておくか。 どうせこの世界にラノベはねぇし。
何処の狩場をご所望だ? それと、PTメンバーは?」
「最前層の迷宮区のダンジョン内。 玖渚とシャムには連絡しておいてやった。 感謝しろ」
「マジかよ。 俺感謝しないからな。 絶対感謝しない」
「何故だ。 私は最善で最良の行動を取っただけだ。 大体、こんなゲームの中で年末年始もないだろう。
紅白歌合戦もゆく年くる年もダウンタウンもないぞ。 それなら狩りをした方が有意義じゃないのか」
いや、2022年までダウンタウンの笑ってはいけないシリーズがあるのかどうかは謎ではあるが。
「違うんだよインドア派。 こう、なんていうんだろうな。 年末は年末でワクワク感があるんだよ。
俺が20台前半の頃は飲み屋で仲間と飲みながら年越えたぜ? で、その後初詣行った」
「私は初詣はかならず家族と共に昼くらいからだからな。 まぁ去年と今年は流石に無理だが」
このあたりにジェネレーションギャップというか、ギャップを感じるな……。
まぁ、生き方も異なれば、そういうのの基準も違うのだろう。
「リアルの話はこのあたりにしておくか。 虚しくなるだけだぜ。 ていうかネトゲの中でリアルの話はあんまよくないしな」
「流石に1年以上もこの中に押し込めれられればゲームもリアルもあんまり関係ないがな」
まぁ、それも最もではあるのだが……。
一応決まりは決まりだ。
そんなことを思いながら、俺は装備を整え、立ち上がった。
「さて、狩りに行くか。 集合場所は決めてあるんだよな?」
「時間と場所は既に指定してある。 あと20分後に最前層の移動ポータルだ」
「あいよ。 了解だ」
そんなやり取りをして、俺達は部屋を出る。
年末年始。 このゲームに休息はない。
いつ死ぬかわからない状況で、戦いぬかなきゃいけない。
このゲームをとっととクリアして現実に戻るために、だ。
全員で狩場に着き、狩りを開始して早3時間。
狩りのペースは至って順調だ。
しかし、年末だからこそ。
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