暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第12話?仲の良い鍛治屋さん
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纏っていた緊張感から一気に解放され、思わず両肩を上下に動かしながら安堵の息を漏らす。
?第二十八層にある街アルーシュは、周りが野原に囲まれたところにある。この層の主街区ではないものの、豊富な品揃えと施設により主街区とほぼ同等の人口を誇っている。
?街の広さは第一層主街区《はじまりの街》の三分の一程度の大きさで、街の構造も似たようなものとなっている。もしかしたら、その造りを懐かしく感じてここに来る人も多いのかもしれない。
?豊富な品揃えと言ったが、それはポーション等のアイテム類に限った話ではなく、武具や防具の種類も含まれている。また遊び場となる施設も数種類存在し、いつもそこには人がたまっている。だから、個人的に人が多いところが得意ではない僕はあまり訪れたことがない。興味はあるのだが、人が多いからあまり寄らないのだ。
?――さて、目的の鍛冶屋に行くとしよう。
?僕は目的地へと足を進める。今の時刻は午前十時半ぐらい。夜型の人ならばまだ寝ているだろうが、商売人であるあの人ならばもうとっくに起きているだろうし、なんならもう営業しているだろう。
?人通りの多い道をいつもよりゆったりとした速度で歩きつつ道の両端にあるいくつもの店を見わたす。やはり、第一層のときよりも周りの笑顔が多い。着実にアインクラッドの層がクリアされていき、大多数の人間が前向きになったということは良いことだ。そして、彼らの笑顔に貢献しているということが素直に嬉しい。これからもゲーム攻略を頑張ろうと思える。
?自分の顔もニヤけていくのを感じていると、目的地に辿り着いた。商人には必須の大きな灰色の絨毯(じゅうたん)を広げ、その上に自分が鍛えたであろう片手用直剣や両手槍などの数種類の武器を大通り側に並べていて、その奥に椅子や携行炉などが設置してある。たまに人が立ち寄るぐらいで行列ができていないところを見ると、そこまで人気ではないようだ。
?それでもその店の主人は決して暗くなることはなく、寄ってくれたお客さんに明るく接客している。僕は主人の接客が終わると、鍛冶屋の近くに立って主人に軽く手を挙げた。顔も軽く笑わせる。
「やっ、リズ」
?僕のフレンドリーな挨拶に少し疲れたような笑いを浮かべながら、返事をしてくれた。
「ユウ、あんたいなくなったと思ったら急に現れて……今まで何してたのよ!」
「いや、ちょっと迷宮区に一週間ほど……」
「一週間!??あんた本当になにしてんのよ!」
「いやー、ちょっと頑張っちゃいまして……あははー」
?笑ってごまかそうとするが、目の前の薄いブラウンのきれいな紙をしたそばかすが目印の少女店主は半目になって眉を潜める。それでも僕は懲りずに「あはは……」と笑うが、それは次第に乾いたものとなっていく。いや、なんかこえーっすよ。
?だが、向こうの方が折れたらしく、は
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