ターン36 鉄砲水と破滅の光
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誰ひとりいないドアの前でしばし息をひそめる。10秒、20秒と数えていってついに1分が経ったが、結局ユーノも富野も消えたっきり帰ってこない。なんとなく嫌な予感もする、けど。
「……行くよ、皆。ここまで来たんだ、最終決戦まで一気に終わらせるんだ!」
『ああ。私達は全てマスターの味方だ、最後まで共に行こう』
チャクチャルさんの声にも励まされ、一度頷いてから思い切ってドアを蹴破る。ダークシグナーの身体強化をフルに使った一撃の衝撃は重そうなドアの金具をねじ切り、蹴り開けるだけのつもりがドアがまるっときれいに吹き飛ばしてしまった。そしてそのまま勢いを減じずに向かい側の壁にぶつかるまで飛んでゆき、派手な破壊音を立てる。
「あーあ……やっちゃった」
「随分と乱暴な真似をしてくれたものだ。ここにやってくるのは最初からわかっていたが、ユーノがこんなに早く道を通すのはさすがの私も予想外だった。もう少しは粘ってくれると思ったんだがね。まあいい、最低限の時間稼ぎにはなった」
部屋に響く一見静かな、だけど紙一重の狂気を含ませた声。ついに会えた斎王は、最後に童実野町で見たときとはまるで別人のような態度だった。だけどその時、僕が注目していたのは本性を出した斎王じゃない。その隣、ぐったりしたように椅子に腰かける青年だった。後ろ姿しか見えないが、あの銀髪とスーツは見間違えようがない。
「エド!」
僕の声にも、しかしエドは答えない。よくよく見ると、座り込んでいるにしては姿勢がおかしい。どうやら、気絶した状態で椅子に腰かけさせられているようだ。
「斎王!お前一体、エドに何を?」
「別に、まだ何も。今は少々眠ってもらっているだけさ。もっとも、お前に彼のことを心配するほど余裕があるのかね?」
「くっ……まあいいさ、斎王、デュエルだ!光の結社とデュエルアカデミアの因縁、ここでまとめて決着つけようじゃないの!」
ビッと指さして啖呵を切ると、斎王は返事の代わりに口の端を歪めて笑った。
「くだらん。私の力は以前とは比べ物にならないほど高まっている、デュエルを介さずとも人間1人に光の波動を送り込むことぐらい造作もないわ!」
そう叫び、右手を僕に向けてかざす。その掌が発光したかと思うとみるみるうちに僕の視界全体が白く染まり………そして、また元に戻った。再び色の蘇った世界を見て自分に何も変化がないことを確認すると、斎王も驚きを隠せない表情でこちらを見ていた。
「馬鹿な。運命を受け付けない、だと?」
しかしその驚きもつかの間、またすぐに狂ったような笑いを取り戻す。
「ははははは!どんな小細工をしたかはわからんが清明よ、エドにすら負けたお前がこの私にデュエルを挑むか。いいだろう、我が運命は不敗!そのことを身をもって知らし
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