大切なもの〜
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うから、どうしようかと思ってたら、なんかレアアイテム取りに行くって言うじゃない。プネウマの花って今が旬だから、とってもいい相場なのよね。やっぱり情報収集は大事よねぇ」
そこでロザリアは俺に視線を向ける。
「でもそこの剣士サン、そこまで解っていながらノコノコその子に付き合うなんて、馬鹿?それとも本当に体でたらしこまれちゃったの?」
シリカが怒りで爆発しそうなのを横から感じ、シリカの肩を掴んで落ち着かせる。
「別にそうじゃないさ・・・」
俺はスイッチを入れる。ここからは・・・遊びは抜きだ。
「俺もアンタを探してたんだよ、ロザリア」
「・・・どういうことかしら?」
「・・・十日前、三十八層で《シルバーフラグス》っていうギルドを襲ったよな。リーダーだけが脱出に成功し、他のメンバーは・・・」
「・・・ああ、あの貧乏な連中ね」
「そのリーダーはな、毎日ずっと朝から晩まで最前線のゲート広場で泣きながら仇討ちをしてくれる奴を探してたんだ」
俺はその場が凍り付くような声を発する。
「でもな。そいつは俺に向かって、お前らを殺せと言わなかった。黒鉄宮の牢獄に入れてくれと、そう言ったんだ。ーーーーーその人の気持ちが分かるか?」
「解んないわよ」
面倒臭そうにロザリアは答える。
「何よ、マジんなっちゃって、馬鹿みたいな。ここで人を殺したって、ホントにその人が死ぬ証拠ないし。そんなんで、現実に戻った時罪になるわけないわよ。だいたい戻れるかどうかも解んないのにさ、正義とか法律とか、笑っちゃうわよね。アタシそういう奴が一番嫌い。この世界に妙な理屈持ち込む奴がね」
「奇遇だなぁ。俺もアンタみたいなタイプの人間はーーーーー」
俺はかなりの殺気を宿しながら口にする。
「ーーー殺したいほど嫌いだぜ」
「ふん・・・で、その死に損ないの言うこと真に受けて、アタシらを探してた訳だ。ヒマな人だねー。ま、あんたの撒いた餌にまんまと釣られちゃったのは認めるけど・・・でもさぁ、たった二人でどうにかなるとでも思ってんの・・・?」
ロザリアが合図を出し、それで次々と木立から人が出てくる。・・・十人くらいか。
「こ、コウハさん・・・人数が多すぎます、脱出しないと・・・!」
俺はシリカの頭をポンポンと叩き、もう一歩前に出る。
「大丈夫さ。俺が逃げろと言うまでは見てればいいよ」
更にもう一歩。シリカが叫ぶ。
「コウハさん・・・!」
その言葉が聞こえたのか、賊の一人が眉を潜めた。
「コウハ・・・?」
そして目を見開く。
「深紅のコート・・・身の丈を越える太刀、鈍く光る手甲・・・そして鈴がくくりつけられた曲刀・・・こいつ、まさか“鈴の音”・・・!
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