暁 〜小説投稿サイト〜
真似と開閉と世界旅行
大切なもの〜
[6/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
うから、どうしようかと思ってたら、なんかレアアイテム取りに行くって言うじゃない。プネウマの花って今が旬だから、とってもいい相場なのよね。やっぱり情報収集は大事よねぇ」


そこでロザリアは俺に視線を向ける。

「でもそこの剣士サン、そこまで解っていながらノコノコその子に付き合うなんて、馬鹿?それとも本当に体でたらしこまれちゃったの?」

シリカが怒りで爆発しそうなのを横から感じ、シリカの肩を掴んで落ち着かせる。

「別にそうじゃないさ・・・」

俺はスイッチを入れる。ここからは・・・遊びは抜きだ。

「俺もアンタを探してたんだよ、ロザリア」

「・・・どういうことかしら?」

「・・・十日前、三十八層で《シルバーフラグス》っていうギルドを襲ったよな。リーダーだけが脱出に成功し、他のメンバーは・・・」

「・・・ああ、あの貧乏な連中ね」

「そのリーダーはな、毎日ずっと朝から晩まで最前線のゲート広場で泣きながら仇討ちをしてくれる奴を探してたんだ」
俺はその場が凍り付くような声を発する。

「でもな。そいつは俺に向かって、お前らを殺せと言わなかった。黒鉄宮の牢獄に入れてくれと、そう言ったんだ。ーーーーーその人の気持ちが分かるか?」

「解んないわよ」

面倒臭そうにロザリアは答える。

「何よ、マジんなっちゃって、馬鹿みたいな。ここで人を殺したって、ホントにその人が死ぬ証拠ないし。そんなんで、現実に戻った時罪になるわけないわよ。だいたい戻れるかどうかも解んないのにさ、正義とか法律とか、笑っちゃうわよね。アタシそういう奴が一番嫌い。この世界に妙な理屈持ち込む奴がね」

「奇遇だなぁ。俺もアンタみたいなタイプの人間はーーーーー」

俺はかなりの殺気を宿しながら口にする。

「ーーー殺したいほど嫌いだぜ」


「ふん・・・で、その死に損ないの言うこと真に受けて、アタシらを探してた訳だ。ヒマな人だねー。ま、あんたの撒いた餌にまんまと釣られちゃったのは認めるけど・・・でもさぁ、たった二人でどうにかなるとでも思ってんの・・・?」

ロザリアが合図を出し、それで次々と木立から人が出てくる。・・・十人くらいか。

「こ、コウハさん・・・人数が多すぎます、脱出しないと・・・!」

俺はシリカの頭をポンポンと叩き、もう一歩前に出る。

「大丈夫さ。俺が逃げろと言うまでは見てればいいよ」

更にもう一歩。シリカが叫ぶ。

「コウハさん・・・!」


その言葉が聞こえたのか、賊の一人が眉を潜めた。

「コウハ・・・?」

そして目を見開く。

「深紅のコート・・・身の丈を越える太刀、鈍く光る手甲・・・そして鈴がくくりつけられた曲刀・・・こいつ、まさか“鈴の音”・・・!
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ