大切なもの〜
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るって祖父に言ったんだ。・・・兄貴は即効殴られたけど、俺は理由を聞かれた。・・・俺はただ、勝てないから辞めると言ったんだ。・・・直後にグーが飛んでさ、ぶっ飛ばされた。・・・今考えれば爺さんは俺が嘘をついたのを見抜いたのかもしれないな」
俺は溜め息を吐く。
「妹は大泣きして、お兄ちゃん達の分頑張るから殴らないで・・・って爺さんにずっと言ってた。・・・俺は妹を傷つけたくないと思ってやった行動が更に妹を苦しめているなんて想像もしたくなかった。・・・それから、俺は妹を避け出した。妹も今までは名前を呼んでくれたけど、今じゃよそよそしく“お兄さん”って呼ぶようになった。きっと妹は・・・直葉は俺を怨んでると思う。本当は直葉だってやりたい事があるんじゃないかって、俺のせいで剣道を辞められなくなったんじゃないかって・・・本当はこのゲームの話を持ち掛けて、時間をかけてでもまた昔みたいに戻したいと思ってたんだ。けど・・・」
「このゲームが始まった・・・」
「ああ。・・・はぁ・・・俺はもしかしたら、シリカを直葉に見立ててるのかもしれない。罪滅ぼしのつもりで助けてるのかもしれないね・・・ごめんな」
シリカは首を振ってから言った。
「・・・妹さん、コウハさんを恨んでいなかったと思います。何でも好きじゃないのに頑張れることなんかありませんよ。きっと」
「・・・はは、慰められてばっかだね。ありがとう、シリカ。・・・後で兄貴にも言ってあげてくれる?兄貴も妹と色々あって・・・」
「・・・はい!」
そうこうしてる内にフィールドの手前まで来た。
「・・・いよいよ開始だけど・・・」
「はい」
俺はコートの内側にあるポーチの中から水色の結晶・・・転移結晶を取り出す。
「その装備とレベルなら平気だと思うけど、何が起こるか解らない。だから、俺が逃げろって言ったらすぐにこの転移結晶でどこかに跳んで。いい?」
「で、でも・・・」
「これだけは譲れない。・・・俺は一度パーティーを・・・ギルドを壊滅させてしまった事があるんだ。・・・もう二度と誰かが死ぬのを見たくない」
シリカはゆっくりと頷く。・・・それを見て俺は笑顔を作る。
「よし、行こう!」
「はい!」
頼もしい返事。きっとこれなら問題はないと思った。ーーーこの時までは。
ーーーー数分後。
「ぎゃ、ぎゃああああ!?なにこれーーー!?き、気持ちワルーーー!!」
シリカが悲鳴を上げる。フィールドを出て初のモンスターだが・・・
「や、やあああ!!こないでーーー!」
よ
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