大切なもの〜
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・・・夢を見た。あれは俺が八歳位のころ・・・
『すぐはー、危ないからいいよ・・・』
『だめ!あたしが怪我させたんだもん。えっ、と・・・ここかな・・・』
妹が転び、それを庇ったら膝を怪我してしまった。妹は自分が消毒すると言って家にある棚の上にある筈の救急箱を、椅子に登って探していた。
『あっ、あった!・・・んぅ・・・!』
妹は色々な荷物が置かれている中から救急箱を引っ張り出そうとしている。
『危ないよ!俺はへいきだから・・・』
『やだ。あたし、りょうが痛そうにしてるのやだもん』
『すぐは・・・』
だが、妹が力を籠めて引っ張った時、すこしつっかかってから救急箱が抜けた。
『きゃ・・・』
『すぐは!』
当然勢い余って妹は体制を崩し、椅子から落ちそうになる。・・・しかも、支えを失った荷物もそのまま落下してくる。
『あぶない!』
妹を庇うように飛び込み・・・
ガタタタン!!
『・・・いたた・・・りょう、大丈・・・っ!?』
妹が息を呑む。何故なら・・・
『ああああ!!目・・・目が・・・!うああああ!!』
耐え難い痛み。俺は右目を押さえながら叫ぶ。
『りょ、りょう!?ねぇ、りょう!だいじょうぶ!?りょう・・・!』
妹が必死に呼び掛けてくるが・・・
『いたい・・・!!目がいたいよぉ!!うああああ!!』
『スグ!どうし・・・りょう!?』
声からして多分兄だと思われる。
『りょうが・・・りょうがぁ・・・』
『ま、まってろ!すぐ母さんをよんでくるから!』
『りょう・・・りょう・・・!』
妹が泣きながら呼ぶ。・・・呼ぶ・・・
「・・・さん、コウハさん、朝ですよー」
「へあ・・・?」
目を開くと目の前には妹・・・ではなくシリカがいた。
「あ・・・ああ、ごめん。随分気持ち良さそうに寝てたから、つい起こせなくて・・・変なことはしてないから安心してよ」
「ふふ、コウハさんはそんなことをする人じゃないですよ。・・・でもごめんなさい。ベッド占領しちゃって・・・」
「あはは、平気平気。ここじゃ寝違えも筋肉痛もないし」
とは言うものの癖で首を捻ったり体を曲げたりする。
「あ・・・言い忘れてた・・・おはよう、シリカ」
「あ、おはようございます」
俺達は朝食を取り、転移門まで移動する。
「あ・・・あたし、四十七層の街の名前、知らないや・・・」
それを聞いて俺はシリカに手を伸ばす。
「大丈夫。俺が指定するから」
シリカはゆっくりと俺の
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