地雷
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ばなくなったと思って、将来有望な治癒術師の誕生と、それによって未来で救われたはずの命の事を考え、彼女が誰にも見られないように涙を流していたのを、偶然とはいえ見た事がある。
今回の件でミッドチルダに来る前、地球にいる間の時間を使ってシャマルは自筆で困難な治癒魔法の術式、使用時のコツや感覚などを書いた教本を地道に作ろうとしていた所から、その意気込みがうかがえる程だった。しかし、それが無駄となってしまった辛さと哀しみは、記憶が無いせいで実感しにくい闇の書の罪より、はるかに生々しく彼女を襲っていた。
その辛さが守護騎士のパスを通じて伝わってくるからこそ、主である私もマキナちゃんともう一度やり直したいと思っている。そして……マキナちゃんが復讐に走ったりするような事だけは防ぎたい。だから今二人きりとなっているこの機会は、ある意味好都合とも言える。皆が必死にファーヴニルと戦っている時に何を考えていると言われるかもしれへんけど、火種と確執を残したまま別れるのは嫌や。せめて戦いが終わった後も話せる間柄にまでは戻しておきたい。
そう思った私は痛みに耐えながら顔をマキナちゃんの方に向け―――――ようとした途端、ぐいっと顔を掴まれて元の位置に戻された。
「こぺっ!?」
『動かないで、余計な手間が増える』
「そ、それは悪いと思うけど、マキナちゃん……何かちょっと厳しくない? 今の結構、首痛かったわ……」
『……一番良かった狙撃ポイントを潰されたのに、見つかる危険を冒してまで八神が潰れたトマトになるのを防いで、その上ここまで運んできて治療もしてあげてる。皆が必死に戦ってる中、私も早く援護を再開したいから治療の時間を最小限にするべく大人しくしてと言ったのに、言いつけを破って動いたから戻した。怒られてもおかしくない事をやらかしていて、それでもこの程度で済ませてあげているのに八神は厳しいと言うの?』
「う……ご、ごめん。何も言い返せへんわ」
『そ、わかればいい。これから応急処置するけど、何回か痛くなるから話すならそれに耐えてからにして』
「痛くなる?」
『四肢のズレた関節を元の場所にはめ直す。そうしないと治癒魔法の効果も半減しちゃうし、何より手足を動かせないままになって危険だから。戻す瞬間はかなり痛むけど、我慢して』
「え? はめ直すって……まさか!?」
『時間が惜しい。早速右脚から始める……せぇ〜の!!』
「ま、待っ――――!?」
グキリッ!
「アァーーーーー!!!?」
『次、左脚。迷ってる暇はないよ』
「あ、ちょっ!? 少しだけで良いからきゅうけ―――――!?」
グキリッ!
「アァーーーーーー!!!?」
『これで半分終わった。今度は右腕を戻す、行くよ』
「だから
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