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101番目の舶ィ語
第十四話。魔女のアドバイス
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てきた。
だがあの時俺はまだ目覚めたばかりで。
キリカはおろか、誰にも自身に起きた問題を話せずにいた……のに。

『だってお兄さん、一人じゃないでしょ?』

ヤシロちゃんは確かそう言っていた。
あの時は周りに誰もいない状況で。俺一人だったから人違いとは考えにくい。
それなのに……ヤシロちゃんはすでに俺が本当の一文字疾風じゃないと解っていた?
混乱しそうになった俺にキリカは優しく告げる。

「さっきも言ったけど、本当は私も瑞江ちゃんも君に『ハーフロア』になってほしくない。
出来ることなら君には変わってほしくない。
それが私達の想い。君に教えた方法は、自分を『ロア』にする方法。モンジ君は今まで、ずっとただの……とはいえない、かなりおかしな人間だったけど「それはどういう意味かな、キリカ?」、これからはモンジ君自身も『ロア』になれる、完全な『ハーフロア』になってしまう方法。
だから……よく考えて」

「ああ……解った」

キリカは変わってほしくないと言っているし、一之江も変わってほしくないと思っているという想いを聞いた。俺だって出来ればそんな力に頼りたくない。普通の一般人として普通に生きる。そういう想いもある。
だが、本当に悔しかったんだ。
そして、本当に怖かったのだ。
自分の命の恐怖や痛みに対する恐怖は確かにあるが。それよりも……

仲間を、大切な人を失う恐怖は、二度とごめんだ。
それはかつて、カナ……兄さんを失ったと思っていた時にも感じていたが。
俺は、俺が大切に想っている人が傷ついたら黙ってジッとなんかしてられない。
ましてや、自分のせいで大切な人を失うかもしれない恐怖は二度と味わいたくない。
そう。怖いのだ。
怖いから頑張れる。
強い力を手に入れて、世界征服とかしたいわけじゃない。
弱いから。俺は弱いから勇気を出して、自分に出来ることをしたいだけだ。
だから、俺は。

「キリカ、俺はちゃんとキリカも、一之江も、音央も鳴央ちゃんも。……俺に関わるみんなのことを考えて、決断するよ」

「そっか……やっぱり君にはあるんだね。主人公になる『覚悟』が」

主人公になる覚悟。
その言葉もキリカと戦った時にすでに告げられていた言葉だ。
そして、嬉しそうに頷くと俺に抱き着いてきた。
熱っぽい体でぎゅっと締め付けてきた。

「あの時のことを思い出して。君が初めて『ハーフロア』として目覚めたあの時を……」

あの時は無我夢中だったが。戦いの中で明確に()という物語をイメージして。
そして……俺自身の物語。(エネイブル)』のハーフロアが浮かんだ。
そうだ! あの時は……。

「なんか、見えた気がするよ、キリカ」

「うん。じゃあ、後は考えるだけだよ、モンジ君」


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