暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンラインー死神の鎮魂歌
瑠璃色の死神ー前編
[10/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
えてあげるよ」

「そりゃそうだ」と納得する俺とは対照的にラピスはやや不満顔だ。そんな俺たちの様子をアスナは微笑ましそうに眺めていた。

 ◆◆◆

 何はともあれ迷宮攻略である。俺としては当初の目的を達成できるのだからそこまで悪いことでは無い。だが、それは俺に限っての話であって、俺の連れ、正確には俺を連れ回している人物もそうであるとは限らないのだ。

「帰りたいよー」

 ラピスは仕事に疲れたOLばりのトーンで心底気だるそうにぼやいた。

 俺はそれを宥めるように言い聞かせる。

「帰りたい時に帰れたら誰も残業なんてしないで帰るだろ。諦めろ、やらないといけないから残るんだ。個人の意思など関係ない」

 俺の話にラピスは首を傾げてポカンとしていた。なるほど、ラピスにはまだ分からないか。働けば分かる、いずれな。

 高校生である俺が心中で何かほざいている間にも一歩一歩暗い迷宮を探索していた。

 因みに迷宮ということで今の服装はちゃんとした装備である。俺は赤色のコートを羽織り、ラピスは今まで来ていたパーカーを脱いで、瑠璃色のローブを羽織っている形だ。

 迷宮の中は青黒い石がそこら中に敷き詰められた洞窟の様な形容で、そこを照らすのは無数のたいまつのみである。実際にそこまで暗いわけではないがこうも辺りが暗い色で囲まれているとやっぱり暗いんじゃないかと錯覚してしまう。

 それゆえの暗い迷宮である。こればかりは何度探索しても馴れないものだ。

 特にこれといったあてもなく、マップで埋められていない場所を点々としていた。しかし、この辺りは大方探索されてしまっていたのか殆どmobとも出くわさない。これでは何しに来たの状態である。

 と言ってもこういった事は攻略終盤にもなれば良く有ることなのだ。

 他のダンジョンにでも似たような事は有るのだが、残り少ないエリアを複数人で探索するとその場所が被ってしまうのは当たり前の事である。事前に話し合いでもして計画を立てているならば話は別だが今の俺たちは途中から参加しているのでそんな話は聞かされていない。

 まぁどうしようにもこの階は殆ど探索済みであることは事実だ。今更違う場所を探索しようにもここと状況は大して変わらないだろう。

「なんか楽でいいね」

 ラピスはそう言ってもの凄く気持ちのいい笑顔を見せた。何か一言言い返そうかと思ったが事実その通りなので今回は口をつぐんだ。

 確かに今は楽だがこんなに楽なのは他の攻略組の人が頑張ってくれたからに他ならない。そしてその事を忘れてはいけないのだ。はたしてラピスはこの状況をどの様に感じているのか。

 そんな事を考えていると突然殺気を感じ取った。

 ラピスも俺とほぼ同じタイミングで察知したようで、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ