精神の奥底
51 Dark Side Of The City 〜中編〜
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「……」
『オイ、スバル…出やがったぜ』
「ん?んんん…」
デンサンシティの安ホテルの一室で眠っていたスバルをウォーロックは起こした。
「何が…ってまだ3時じゃないか…朝食は6時半から8時半まで…2階のダイニングで…」
『それどころじゃねぇ!出やがったんだよ!奴が!!』
「奴?...まさか…」
『あぁ!その「まさか」だ』
ウォーロックはスターダストの気配を感じ取ったのだ。
自分たちに近い存在、それがウォーロックに姿を見せること無く気配だけで恐怖に襲い掛かっていたのだ。
スバルは久々にウォーロックが本当に恐れを抱いているように見えた。
これはただごとではないのは、まだ出会ってから1年も経っていない程の付き合いのスバルにもすぐに分かる。
勢い良くベッドから飛び出し、窓に張り付いた。
「何処!?」
『クッソ…気配は感じるのに正確な位置が掴めねぇ』
「気配は感じるのに?」
『分からなくはねぇが、はっきりとしねぇ…殺気だけ放っといて、追跡させねぇ魂胆か!?畜生!出てきやがれ!!オレはここだ!!』
明らかにウォーロックは恐れている。
それだけでスバルは相手が何にせよ只者ではないことを悟る。
そんな時、スバルの視界に異変が現れた。
『オイ、スバル!ビジライザーかけてみろ』
「分かってる」
ホテル6階の窓から見える美しくも儚いデンサンシティの夜景の一部が一瞬だが雷が落ちたように激しく光ったのだ。
ビジライザーを通してみれば、そこでは明らかに電波空間で何かが争った後のノイズが溢れている。
すぐさまスバルは机の上に広げた地図を見た。
「あそこは…電気街の辺りだ」
『電気街だと?』
「うん、デンサンシティでは一番の家電や電子機器の店が揃ってるエリアだよ。イベントホールやショッピングモールもある」
『確かにあの辺りから強く気配は感じる…だがはっきりし…あぁ!!もう、消えやがった!!』
「消えた?」
ウォーロックは自分のたてがみを掻きむしり、幽霊のように実態がはっきりしないスターダストの気配に苛立ちを露わにした。
「移動したってこと?」
『かもな!気配はまだ感じるが、少なくとも、もう電気街にはいない。それにはっきりしなさ過ぎて電気街だったのかも怪しい』
「落ち着いてよ、ウォーロック。でも今ので僕も確信したよ」
『何を?』
「君の言う存在は実在するらしいってことが。仮に電気街にいたなら、その足跡はちゃんと目で見ることができた」
スバルは椅子を引いて腰掛けると机の上に並べた資料を眺める。
「中学生殺人事件の現場、プライムタウン、そして今の電気街を含めると、間違いなく君の感じている何かはこの街にいる」
『今のところの手がかりはコイツとコイツか…中々に絵心あるじゃねぇか
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