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Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#26 襲撃のリグレット・アリエッタ
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 ジェイドは、そうリグレットに告げた。だが、リグレットは頷かない。寧ろ笑っていたのだ。

「ふっ……、確かにあの男は大したものだ……が、 こちらの方の男は、そうでもないぞ?」

 リグレットがそう言って見た先にはルークがいた。



「ぐぅ! がぁっ!!」

 明らかにいつもよりキレの悪い動きをしている。身体のキレが悪い理由は明らかだった。戦いの場だと言うのに、深く自問自答を繰り返しているからだ。

「(こ、殺す……? また人を……?)」

 そう、その事が、何度も頭に過る。一度、取り付いたそれは、まるで身体から離れないのだ。まるで悪霊の様に、呪いの様に。あの時殺した男の呪いの様に。

「(嫌だ……嫌だっ!! 怖い……怖いっ!!)」

 怖いと強く感じてしまった。手に持つ剣にも力が入らない。
 だからこそ、ルークは致命的なミスをしてしまった。怖いからこそ、目を閉じてしまったのだ。敵から目を逸らすと言う愚行を犯してしまうのだ。

 
 それを見た敵側が手を緩める訳はない。だから、ルークに斬りかかろうとしたその時だ。
 
 何かを斬る音がした。……だが、それはルークにではない。鮮血を散らせたのは……。

「!!!」
「……ばか……………」

 地に倒れるのは、ティアだった。ルークを身を呈して庇ったのだ。

「っっ! ティアさん!!!」

 傷がの程度は判らない。だが、倒れてしまった以上、決して浅くはないだろう。

「ちっ!」

 ジェイドが槍を投げつけ敵を撃退したが、その代償で強敵であるリグレットを解放してしまったのだ。

 その上、アリエッタが連れてきたライガ達も暴れている。


 そして、こちらは1名、戦闘不能に陥ってしまった。彼女を人質に取られる可能性だって捨てきれない。最悪、攻撃される可能性も。


「っ! まずい!!」

 アルは、急いで向かおうとしたが、最初の時同様に、敵がまだ多い。近づけない。

「ふっ……いかせんぞ」

 そして、リグレットが銃を構えなおし、アルを狙おうとしたその時だ。

 突然、頭上。タルタロス上部から誰かが 降りてきてイオンを取り囲んでいた兵士をなぎ倒したのだ。


「ガイ様 華麗に参上!」


 突然の事に混乱を隠す事が出来ないのは、敵味方同じだった。突然現れた民間人と言う訳ではなさそうだ。イオンを助けてくれたんだから。

「さて、うちの坊ちゃん(ルーク)を捜しにきてみりゃ、一体なんの騒ぎだこりゃあ? とりあえず、皆まとめて返してもらうぜ」

 ガイ、と名乗る彼が、そう言うと意味深に片眼を閉じて、ウインクした。

 

 それの意図に気付いたリグレットだったが、時は既に遅かった。


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